まあやんの 徒然なる日々

お薦めの本の紹介と移ろいゆく日々の中から目にしたことを綴るブログです
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# 「日本画の『値段』 京都画壇の見方、買い方」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
        日本画の「値段」―京都画壇の見方、買い方      
 
 
 
 
                 川崎 正継/著
 
 
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   一見、即物的なとんでもなく“生臭い”題名の本のように感じ
   る。
 
   こういう本をご紹介させていただこうとすると「何、のるまん
   じい、おまえさん、日本画に投資する山っ気なんか持ってたん
   だ!」などとせせら笑いを浴びせられそうだ(笑)。   
 
   こちとら、美術品を投資の対象にするなんて、そんな考えは持
   ち合わせたことはない。自分の好きな絵の値段が上がったの下
   がったのと一喜一憂するなんて、そんなのご免蒙りたいものだ。
 
   とまあ、これは精一杯の負け惜しみであって、そもそも日々の
   かつがつの生活の舵取りをどうしようかとねじりはちまきの人
   間だから、投資しようにもそう安々とできるもんじゃないけど
   ね(笑)。
 
   大体、この本のご著者で京都美術倶楽部理事、美術商“鐵齋堂
   ”のご主人、川崎さん(崎の字だが、大ではなくて立なのだが
   、文字化けのため悪しからず)はあとがきでこうおっしゃって  
   おられる。
 
   少しでも京都画壇の底力と忘れ去られようとしているすぐれた
   画家たちの魅力と新鮮さを知っていただくため、(中略)現在
   の著作権制度はもう少し緩和すると同時に、実力ある物故作家
   を私たち美術商、美術館や美術関係者、そしてご遺族がしっか
   りと守っていく義務があるでしょう。将来を見据えてよい作家
   、よい作品が埋没せぬよう絶えず発掘し、世に浮上させ、愛好
   家の方々に紹介していくことが美術商の役割と考えております。   
   
   バブルがはじけて、トンデモない高値をつけていた絵画の値段
   もぐーんと下がった。目もあてられないような惨状を呈してい
   る美術作品だって多くある。「当時の半値以下が今の相場だよ
   」となんて耳にすることぐらい日常茶飯事のこと。
 
   そしてまた、市場では有名作家だけがもてはやされているとい
   う現状が確かに存在し、本当に“作品”は愛されているのだろ
   うかと疑いたくもなる。一方で“美術年鑑”などを見ると目を
   見張るような高値がこれでもかとばかりにそこには書いてある。
 
   あの類の本は場合によって“罪つくり”になるなあと嘆息する。
 
   この本では、個人の画集ではお目にかかれない“絵描き”さん
   も登場する。名前だけは聞いたことあるような方や残念だけど
   人々から忘れ去られようとしている方の作品もある。そしてま
   た、“あれっ?”て思うような方が意外に安い評価を受けてい
   ることを今さらながらに気づかされる。
 
   ちょっと“知らない世界”をのぞき見するような気楽な気持ち
   でページを繰ってみるととても興味深い。
 
   のるまんじいはいつも行く図書館で、この本を何気なく手にし
   た。そして、表紙を目にして、「これ、(上村)松園さんだよ
   ね」と思った。一時期松園さんの追っかけをしていたから(笑
   )。今は昔、奈良市にある“松伯美術館”までのこのこ出かけ
   たものだ。“松伯美術館”は上村松園、松篁、淳之(あつし)
   と3代にわたる作品を中心に収蔵している美術館だ。
 
   奈良ホテルのロビーにかかっている作品も松園さんの1枚に違
   いない。
 
   それにしても表紙絵は初めて目にする作品だった。
 
   これだけで、もうワクワク!『宵の廓』という絹本の作品は。
   おそらく川崎さんがお商売されたものだろう。
 
   『夏装』『湯上里美人』『春信』とどれも初めて目にするもの
   ばかりだった。「ほたる」は同じような構図のものを以前見た
   ことがあったけれど。それにしてもこの「ほたる」の表装の中
   廻しの涼やかなこと。刺繍された団扇は別注だそうで、なんと
   も上品だ。やっぱり“いい作品”には“いいおべべ”を着せな
   くちゃいけない。
 
   おおよその値段がつけられている作品がちらほら見受けられる
   ところが、普通の画集と違って、この本の題名の通りの眼目と
   いうことになるだろうか。
 
   そして。
 
   松園さんの師匠方、そして兄弟子の竹内栖鳳はやはり注目だろ
   うか。ライバル関係にあった幸野楳嶺(ばいれい)と鈴木松年
   (しょうねん)のふたりに師事したことは、松園の一生を描い
   た『序の舞』(宮尾登美子/作)を読んで、名前だけは知って
   いたが作品にはお目にかかったことがなかった。初見である。
 
   ここでは、竹内栖鳳の1幅に注目したい。色紙だったと思うが
   まっ赤な祇園祭の団扇が描かれ、中廻しは山車の車軸を連想さ
   せる金襴の表装だったと思う。(本を返却してしまってからこ
   の部分を追加しているので、自信がちょっと……)
 
   “コンチキチン”の祇園囃子の音と共に都大路を行く山鉾巡行
   の姿が目に浮かんでくるようだ。
 
   のるまんじいが好きな土田麦僊(ばくせん)にもぜひ注目を。
   話がそれてしまうが、のるまんじいは麦僊の『罰』(京都国立
   近代美術館蔵)を一目見てからファンになったのだった。
 
   ほかにどんな作家が掲載されているかだが、
 
   ◎四条派から
   
   村上華岳、小野竹喬、福田平八郎、徳岡神泉、池田遙邨、甲斐
   庄楠音、堂本印象、秋野不矩、上村松篁、山口華楊……
 
 
   ◎円山派では
 
   山元春挙、今尾景年、木島桜谷、山本倉丘……
 
 
   ◎南画の世界から
 
   田能村直入、富岡鐵齊、山田介堂、野口小蘋、田近竹邨……
 
 
   ◎そして大阪画壇と無所属の画家
 
   北野恒富、島成園、生田花朝、木谷千種、山川秀峰……
 
   といった具合である。
 
   さて。
 
   最初に戻って(笑)、「値段」の話をここで書いていて、そう
   いえばと思って、新橋にある「東京美術倶楽部」のホームペー
   ジにアクセスしてみたところ、興味深い記事が載っていた。
 
   来る12月6(土)、7(日)日に、ここ東京美術倶楽部で毎
   年恒例の“歳末 東美正札会”が開催される。記事にはこうあ
   る。
 
   昭和27年より続く、伝統の美術・骨董の展示即売会です。全国
   の美術商が出品する、日本画・洋画・古書画・茶道具・諸美術
   品を、1点2万円より購入頂けるチャンスです。
 
   ということで、たとえ縁もゆかりもなくとも関心さえあれば、
   お出向きになって雰囲気を楽しまれたらいかがだろうか。もち
   ろん、気難しい“旦那たち”もいるには違いないが、青年部の
   若手ならきさくに相手をしてくれるだろう。
 
   何しろ、入場は無料。師走のひととき。まさに“忙中閑有り”
   といった風情に浸れるだろう。
 
   何れにしろ、である。   
 
   こういう本を見るのもまた楽しからずやである。お宅で“文化
   の日”なんて洒落てごらんになったら如何だろう。
 
   中学生以上、一般向きかな。ご一読をお薦めする。
 
 
 
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    京都美術倶楽部のホームページは
 
 
 
 
    
http://www.kyobi.or.jp/
            
 
 
 
    東京美術倶楽部のホームページは
 
 
    
http://www.toobi.co.jp/index_jp.html
 
 
 
 
    松伯美術館は
 
 
    
http://www.kintetsu.jp/shohaku/
 
 
 
    
   奈良ホテルは
 
 
    
https://www.narahotel.co.jp/
 
 
 
 
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        日本画の「値段」―京都画壇の見方、買い方      
 
 
 
 
                 川崎 正継/著
   
 
         
      
             2010年2月 初版 淡交社刊
             
 
 
 
          淡交社のホームページは
 
 
       
http://www.tankosha.co.jp/
 
     
   
 
   
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# 「それでも僕は夢を見る」
JUGEMテーマ:オススメの本

 
 
 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
 
       それでも僕は夢を見る                           
 
 
 
    
 
                  水野 敬也 /作
                                    鉄拳/画
 
 
 
 
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 【ひとこと】
 
 
 売り上げ20万部突破だそうです。
 
 のるまんじいは新聞広告を見て、そこにあったイラストに惹か
 、図書館へリクエストして待つこと数か月、やっとのことで
借り
 出すことができました。

 
 読み終えるこまで数分。鉄拳さんの絵がいいですね。
 
 特に夢破れたぼくのところに再び現れた「夢」の姿は、いとお
 く切なく、今でも日暮れて道半ばののるまんじいにとっては、

 るせなくもありました。

 
 あまり書いてしまうと、ネタばれになるのでやめておきます。
 
 「それでも」ということばが、効いていますね。
 
 どんなに歳を取ろうそんな「夢」はみたいもの。同行二人では
 りませんが、いっしょにいてくれる「夢」と、いつまでも旅
を続
 けたくなりました。 

 
 
 【文響社のホームページより 本書の内容】


 
「夢」は、多くの人がかなえたいと願うものですが、同時に、
 を持つからこそ「挫折」や「不安」が生まれます。

 
 そういった夢のネガティブな側面とどう向き合っていけばいいの
 か、そして、人は夢と共にどう生きるべきなのか。この
疑問に対
 する答えを一冊の本にしました。

 
 鉄拳さんの、今にもうごきだしそうになめらかな絵と、静かな余
 韻を残す物語。しっとり泣けてほんわか温かくなれる1
冊です。
 今の自分の生き方を見つめ直す、大きなきっかけに
なると思いま
 す。

 
 
 
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    水野 敬也 オフィシャルブログ
 
 
    ウケる日記
 
 
 
      
http://ameblo.jp/mizunokeiya/
 
 
 
 
 
     超未来戦士 鉄拳のブログ
 
 
 
      
http://blogs.yahoo.co.jp/tekken_blogl
 
 
 
 
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       それでも僕は夢を見る                           
 
 
 
    
 
                  水野 敬也 /作
                                    鉄拳/画  
   
 
         
      
            2014年3月 初版 文響社刊
             
 
 
 
          文響社のホームページは
 
 
          
http://bunkyosha.com/
     
   
 
   
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# 「山の向こうの美術館」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
   【こんな一冊の本】

 
 
 
 
 
        山の向こうの美術館
 
 
 
    
 
                  星野 富弘/著
 
 
 
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  星野富弘さんが描く草花の絵が好きで、画集を見つければ開
  い
てみたくなります。

  
以前は置いてあった星野さんの手になるポストカードが書店
  の
店頭から消えたのはいつごろからだったでしょうか?置か
  なく
なったのは“はがき”を書く人が少なくなったせいでし
  ょうか
?あれば買い求めてストックしておくのですが、叶わ
  ず残念で
す。

  
そんな星野さんの画文集を図書館で偶然みつけました。表紙
  を
飾るのは群馬県社会福祉総合センター大ホールの緞帳の原
  画で
です。この絵をどこかで見たことがあります。おそらく
  ですが
、富弘少年を育んでくれた故郷の風景ではないでしょ
  うか。

  
この本は群馬県みどり市にある富弘美術館が老朽化した建物
  を
建て替えたときに発行した1冊です。

  
今回は、子ども時代の絵もその思い出とともに掲載されてい
  ま
す。「栴檀は双葉より芳せあり」といいますが、それはい
  い絵
が並んでいます。

  
そして星野さんが苦しい療養のために入院されていた群馬大
  学
病院での作品や書簡がここには載せられています。今さら
  では
ありますが、本書の著者、星野富弘氏は体育教師だった
  ころ、
クラブ活動で鉄棒の指導中に頸髄を損傷して、手足の
  自由を失
われました。寝たきりの生活の中。筆を口にくわえ
  て絵や書を
書き始められました。

  
また詩画の原点ともいえる、入院中に姉や学生時代の先輩の
  米
谷さんに宛てた手紙もそのまま載せられています。

  
のるまんじいは筆者から詩人の八木重吉さんに宛てた手紙が
  好
きです。


  
天国におられるあなたに手紙を出すのは変でしょうか。しか
  し
、私はあなたがどこにおられましょうと、どうしてもお礼
  を申
し上げなければなりません。天国の住所も郵便番号も知
  りませ
んが、神さまはどんなことでもできるお方ですから、
  あなたの
もとに届くと思って書きます。

  
なれなれしく書いておりますが、私はあなたを尊敬していま
  す。


  
こういう感じで、重吉さんに思いをこめて書いておられます。

  
すでにみなさんがこの星野さんの絵と文章をご存じだと思っ
  て
はいますが、それでもまだの方がひとりでもおられたらお
  伝え
したいというそんな気持ちで文を書いています。

  
のるまんじいが思う「この1枚」の絵を挙げるとするなら、
  「
キンモクセイ」の絵になるでしょうか。甘酸っぱい思春期
  の頃
が今でも蘇ってきます。ポストカードを1枚だけ使うの
  がもっ
たいなくて、今でもそっと取ってあります。

  
富弘美術館の近くには知己がおりますので、1度は訪れたい
  と
願っていますが、なかなか足を運ぶ機会に恵まれません。

  
一般向け。というよりみなさんにお薦めしたい、そんな1冊
  で
す。
 
 
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      群馬県社会福祉総合センター大ホールの緞帳は

 
 
        
               
http://www.gswc.or.jp/ggswc/hall.htm
 
 
 

  ==============================================================
 
 
 
 
 
         山の向こうの美術館
 
 
 
    
 
                  星野 富弘/著
   
 
         
      
             2005年4月 初版 富弘美術館刊
             
 
 
 
           富弘美術館のホームページは



           
http://www.city.midori.gunma.jp/tomihiro/
     
   
 
   

   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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# 「天主堂物語 木下陽一写真集」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
 
  【こんな一冊の本】
 
 
 
 
     天主堂物語                        

 
 
          
 
 
 
 
                                   木下 陽一/著
 
 
 ==========================================================
 
 
   
  砂岩を刻んで積み上げて建てられた力強い天主堂が紺碧の空
    
に向かってその威容をみせています。
 
  これは、九州各地の教会建築を手がけた鉄川与助が、本島内
  
の石を刻んで建てた日本唯一の石造りの天主堂です。長崎県
  
五島列島の頭ケ島(かしらがじま)にあります。

  
幕末、開国後に起こったキリシタン弾圧の“五島崩れ”を始
  
め、苦難の歴史の里の1つといえます。
 
  それにしても力強く、そして美しい。
 
  この圧倒される表紙写真を見て、思わず手に取っていました
  
。大型本でしかもかなりの重量があります。立ったままでパ
  
ラパラっというには向きません。

  
写真家の木下陽一さんが長崎のそれも西彼杵(にしそのき)
  
・外海(そとめ)・平戸・五島列島を中心に3年という年月
  
をかけて取材した作品が本書には載っています。

  
上にも書きましたが。

  
長崎は切支丹の里。

  
西洋からやってきた宣教師たちによる布教、江戸幕府による
  
迫害。殉教と棄教。ことに島原の乱以降はより凄惨を極めた
  
ようです。人里離れた地に隠れ切支丹を生んでいきます。

  
明治期も後半になって、煉瓦造りなど、現在建築学的にみて
  
も大変価値のある天主堂が次々と建てられていきます。地元
  
では、「長崎の教会群を世界遺産に登録しようと」という運
  
動が進められているそうです。

  
重厚な外部に対して、ステンドグラスの輝きが、堂内に鮮や
  
かな光のシンフォニーを奏でています。またその輝きの中、
  
少なくはなりましたが、今でも畳敷きの会衆席があることも
  
歴史を感じさせます。
 
  遠藤周作さんの『沈黙』は、西彼杵・外海が舞台になってい
  
ます。この地で、海に臨む教会は多く、それはとても美しい
  
ものです。小説の物語の舞台になった黒崎カトリック教会も
  
その1つです。

  
西海の落日の写真を見ますと、遠く本国を離れて日本に赴い
  
た宣教師たちが追いつめられていった結果、どんな思いにあ
  
ったか考えてしまいます。「踏み絵」を決断するあの瞬間は
  
、遠藤さんでなければ描くことのできない文章でしょう。と
  
なると、今一度『沈黙』は読み直してみないといけないかも
  
しれません。

  
本書には、大浦の天主堂を始めとして本当に美しい建築物が
  
載っています。

  
のるまんじいは、美しく静謐な空間、建築物に身をおくこと
  
が好きです。

  
西行が(いつも偉そうですみません)、伊勢神宮を参拝したと
  
きに詠んだ
 
 
 
     何事のおわしますをば知らねども 
 
 
           かたじけなさに涙こぼるる
 
   
 
  という1首がとても心にしみて、まさしくこの思いがする空
  
間が好きです。この和歌を初めて知ったのは偶然にもカトリ
  
ックのシスター・鈴木秀子さんの著作によってでした。

  
神社を訪ねたとき、神域に入ってそれまでの空気と流れに違
  
いを感じたり、また寺院でもそれと同じ感じに接したりする
  
とこの和歌が思い出されます。

  
それは、経験があまりありませんが、カトリックのミサやプ
  
ロテスタントの礼拝の片隅に身を置かせていただいたときに
  
感じることもあります。

  
ただ建築物として「見学」もいいとは思いますが、やはり建
  
物が人によって使われ光輝いているときに己が身を置きたい、
  
そうのるまんじいは思います。

  
そんなことをいうと、天主堂にめぐり合う機会は、主日のお
  
ミサしかないとなれば、日曜日の朝早くとなることが多くな
  
ってしまうのですが…。それでも――、です。

  
なぜこんなことを書くかといえば。

  
まず、朝が滅法弱い、今があります。

  
そして。

  
まだ高校生の頃、初めて長崎を訪れたとき、幸いなるかな、
  
日曜日ということで、国宝の大浦天主堂の隣にある大浦カト
  
リック教会の早朝ミサに行かせてもらえることがありました
  。

  
朝6時からだったでしょうか。ともかく早起きです。半分ぼ
  
うっとしながら。連れて行ってくれた人からは「静かに座っ
  
ているように」と。でも、正直、何も覚えていないんです(
  
)。残念です。

  
信仰の場ですから、「静かに」「邪魔にならない」ようにす
  
るのは、当たり前ですよね。

  
そんなこんなからでしょうか、今でも長崎・五島にある教会
  
を訪ねてみたいと思っています。もちろん「食べる」ことも
  
外せませんが。

  
カトリック教会も日本中にお訪ねしたいところがあります。
  
聖公会や正教会の教会にもお訪ねしたい、そう願っています
  。
プロテスントのそれももちろんです。

  
「木造」の教会にも関心があります。

  
最後に。

  
海鳥社は福岡市にある出版社です。一度アクセスなさってみ
  
てください。

  
一般向け。カトリック者でなくても十分に楽しめると思いま
  
す。   
 
 
 
=============================================================
 
 
 
   「天主堂物語」木下陽一写真集 海鳥社 神を待ちのぞむ
 
 
   本書の写真紹介、「影像が語り継ぐ信仰の遺産」と題して
   
黒崎カトリック教会 主任司祭 野下千年神父のお話があ
   
ります

 
 
     
http://www.aritearu.com/Influence/Francis/Saint/TensyudouMonogatari.html
 
 
 
   「おじいちゃんが建てた教会」というサイトがあります
 
 
 
     
http://www1.odn.ne.jp/tetsukawa/
 
 
     
    Sr.鈴木秀子さんについてはこちらがいいでしょうか
 
 
 
     
http://www.enneagram.gr.jp/
 
 
 
 ==========================================================

 
 
 
 
    天主堂物語                        
           
 
 
 
    
                                     木下 陽一/著
 
  
 
 
            200411月 初版 海鳥社刊
             
 
 
 
            海鳥社のホームページは
 
 

            http://www.kaichosha-f.co.jp/
 
 
 
  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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# 「 ほっとする良寛さんの般若心経」
JUGEMテーマ:オススメの本

 
 
 
   【こんな一冊の本】
  
 
 
 
       ほっとする良寛さんの般若心経                      
 
  
 
 
 
 
                  加藤 僖一/著 
 
 
 
   ========================================================
 
 
 
   みなさんは、「良寛さん」という名前を聞いてどんなことを
      頭に
浮かべられただろうか?
 
   のるまんじいは、恥ずかしながら、
 
  
        霞立つ長き春日を子供らと
 
 
 
              手まりつきつつ今日もくらしつ
 
 
 
        この里に手まりつきつつ子供らと
 
 
 
              遊ぶ春日は暮れずともよし
 
 
   といった「子どもと手まり」の像しか結ばなかった。
 
   こんなことを言ったらなんだが、今の小中学生たちと比べて
   も「
良寛像」にそれほど大きな差があるとは思えない。
 
   国語の授業で習うかどうか不明だが、良寛さんが僧だったと
   いう
ことにも左程興味が及ばないのではないだろうか?
 
   江戸時代末期を生きた良寛さんが曹洞宗のお坊さんだと知っ
   て、
2つのことに驚いた。
 
   これから「大塩平八郎の乱」や「天保の改革」、そして「蛮
   社の
獄」が起こるという天保年間が始まる頃に良寛さんはこ
   の世に別
れを告げている。騒乱の幕開けの時代と良寛さんが
   結びつくこと
は今までなかった。
 
   そして。
 
   禅――
 
   のるまんじいの家は禅宗の檀家だったから、それなりに“禅
   ”は
身近にあると思っていた。
 
   高校生の頃、寺で催す「日曜座禅会」などにも顔を出して、
   参禅
の真似ごとを経験させてもらった。この寺の、のるまん
   じいから
すると“先輩”といった雰囲気の住職からあれやこ
   れやと教えて
もらっていた。また、名前を挙げればわかるよ
   うな名刹と呼ばれ
る寺でも座禅を体験させてもらったことが
   ある。

 
   だから。
 
   禅宗だったら、臨済でも、曹洞でも、はたまた黄檗でも何と
   はな
しに親しみを感じていた。
 
   道元、という名僧のことは『永平の風 道元の生涯』(大谷
   哲夫/
作 文芸社/刊)や、この本を原作とした中村勘九郎(当
   時は勘太
郎)主演の映画『禅 ZEN』を観て、かじったよう
   な気がする。

 
   また、NHKの永平寺を取材した番組や野々村馨著の『食う
   寝る
坐る永平寺修行記』(新潮社/刊)を読むことによって到底
   のるま
んじいには歯が立たない世界――永平寺があることを
   知ったのだ
った。遠い親戚が鶴見にある同じ曹洞宗の総持寺
   の檀家というご
縁をいただいて何度もお参りさせていただい
   ている。

 
   しかし、永平寺にしても総持寺にしてもどちらも日々厳しい
   修行
に明け暮れていることに変わりがない。
 
   だから
 
 
        月よみの光を待ちて帰りませ
 
 
 
              山路は栗の毬(いが)のおほきに
 
   
   といった、人恋しさが滲み出る和歌が浮かんでくる良寛さん
   が結
びつかなかった。
 
   でも、曹洞禅のあの「只管打坐(しかんたざ)」の世界に身を
   置い
た僧だと考え直してみればこれまでと違った世界が見え
   てこない
だろうか。
 
   良寛さんは名主だった後を継ぐべく名主見習いになるが、故
   あっ
て18歳のときに地元の光照寺で出家してしまう。それば
   かりか、
22歳のとき、備中玉島からやってきた国仙和尚に出
   会い、“生涯
の師”として現在の岡山県倉敷市玉島の円通寺
   までへついて行っ
てしまい、そこで12年間の修行生活に入る。
 
   やがて、師匠との永遠の別れに遭い、乞食三昧と清貧の一生
   を送
ることになるのだそうだ。
 
   だからといって、良寛という人についてのるまんじいは何も
   分か
ってはいない。
 
   しかし、多くの人たちが良寛を絶賛し、評価しているから、
   それ
らの著書を通じて扉を開ければ、何か分かってくるかも
   知れない。

 
   松岡正剛氏の『千夜千冊』の記念すべき千冊目で取り上げた
   のが
『良寛全集』(東郷豊治/編 東京創元社/刊)だった。こ
   こで松岡
氏は良寛について書いておられる。素晴らしいの一
   言に尽きる。
そちらを読んでいただければ、「もうこれでよ
   し」という感じで
ある。
 
   しかしながら、この記事によってのるまんじいの「良寛の旅
   」は
やっと始まったといっても過言ではない。
 
   「良寛」という人物像が多少なりとも分かっていないと本日
   ご紹
介したい『ほっとする良寛さんの般若心経』には近づけ
   ないよう
な気がするのだ。
 
   えらく回り道をした。
 
   それにしても。本書の題名には「ほっとする」とあるが、何
   がど
うしてそういう気持ちにさせるのだろうか?
 
   著者で、新潟大学名誉教授、良寛研究所所長ほかの職にある
   加藤
僖一氏はこんな風に筆を下ろしておられる。
 
   良寛の「般若心経」には、奈良時代の典型的な写経体と違っ
   て、
ファジー、スウィング、スピンといった、宇宙の創生に
   もつなが
る美しい“ゆらぎ”があります。
 
   その良寛の書を楽しみながら、深遠な「般若心経」の世界に
   分け
入っていただければ、これほど嬉しいことはありません。
   と。

 
   “ゆらぎ”これが「ほっとする」につながっていく…。
 
   さらに著者は「良寛さんの書の魅力」の中で、良寛は宗祖道
   元を
深く尊崇し、『正法眼蔵』を熟読玩味し、これを読み解
   くために
膨大な経典、禅語録などの文献を学んでいます。書
   では、草書を
唐の僧、懐素の『自叙帖』に、かなを伝小野道
   風筆『秋萩帖』に
まなんでいます。と。
 
   無欲で無心。すべてを慈しみ、自在に生きてこられた人でし
   た。

   そうした深い精神性がおのずとにじみ出てきて、多くの人の
   心を
とらえて離さないのでしょう。
 
             (中略)
 
   うまさを外に出さず、内に秘めるのです。大宇宙と一体化す
   るよ
うなスケールの大きさを持ちながら、表現される形はご
   く静かで
小さい。
 
             (中略)
 
 
   良寛さんが遺してくれた般若心経の書を味わいながら、良寛
   さん
が般若心経をとなえることによっていかに欲を離れ、心
   の持ち方
を大切にしたかを知りたいと思います。
 
   なお、「般若心経」そのものの解説もあって、原典がサンス
   クリ
ット語で書かれ、これを漢語訳したものが日本に伝来し
   たとある。
漢語訳にあたった人物として鳩摩羅什や玄奘三蔵
   の名前が上がっ
ている。
 
   そして、いよいよ。
 
   「摩訶般若波羅蜜多心経」
 
   良寛さんの写経、そして著者の解説と意訳。
 
   何と美しい字だろうか。改めて思う。
 
   多くの人が良寛の字に憧れ、その書を求めたか。また、真似
   たか。

 
   そして良寛さん自作の和歌や俳句が心憎いほどあう写真とと
   もに
載っている。写真家瀬川強氏の作品である。
 
   
       焚くほどは風がもてくる落ち葉かな
 
 
   のるまんじいが好きな1句だ。
 
 
       生涯身を立つるに懶(ものう)く
       騰々として天真に任す
 
     (立身出世にも気が向かず、
      のんびりのほほんと自然のままに任せている)
 
   のるまんじいは本来そんな人間だ。何と生き難い世の中だろ
   か。

 
   
      世の中にまじわらぬとにはあらねども
 
            ひとり遊びぞ我はまされる
 
 
 
   貞心尼が詠んだ歌に答えた最期のことばが、
 
 
     うらを見せおもてを見せて散るもみぢ
 
 
   だとある。
 
 
       散るさくら残るさくらも散るさくら
 
 
   
   好きなところを、あるいは気が向いたところを読めばい
   い。ここ
に「ねばならない」はない。
 
   最後に著者はこうまとめる。
 
 
   良寛の書にひかれるのは、良寛の書のもつぬくもりとう
   るおい、
細くて軽やかな強さ、痛々しいまでのきびしさ、
   そして空中習字
に見る何ものにもとらわれない自由さ、
   漫々たる雪の清浄感――
消滅であって永遠――と、はて
   しなく大きいのです。

  
 
   のるまんじいは本書を身近に置いておきたいと思う。
 
      そして、こうなったら良寛さん縁の地を訪ねてみたくな
   った。

 
   そればかりではない。安田靫彦氏を始めとする良寛さん
   を描いて
いる絵にも会いたくなった。
 
   欲深いのるまんじいは、まだまだやりたいことがいっぱ
   いである。
「清貧」にはなれそうもない(苦笑)。
 
   一般向け。特に「不惑」を迎えた世代以上の方に一読を
   お薦めし
たい。得るものが大きいと思う。また、書道に
   関心がある方にも
どうぞといいたい。  
 
 
   ======================================================
 
 
 
      松岡正剛の『千夜千冊』  第1000夜
 
 
 
       http://1000ya.isis.ne.jp/1000.html
 
 
 
      良寛・その生涯と足跡
 
 
       
       http://www.kirokueiga.jp/ryoukan/
 
 
 
 
      良寛記念館は
 
 
          
       
http://www8.ocn.ne.jp/~ryokan/

 
 
       
      「カタクリの会」ファンの広場
      瀬川強氏が同会の代表です
 
       
http://o-unomori.jimdo.com/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/
 
 
 
 
   =======================================================
 
 
 

    ほっとする良寛さんの般若心経                      
 
 
 
 
 
                   加藤 僖一/著 
 
 
 
 
            2007年9月 初版 二玄社刊             
          
 
 
 
         二玄社のホームページは
 
 
         
https://www.nigensha.co.jp/
 
 
 
  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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# 「世界の路面電車」
JUGEMテーマ:オススメの本


 

【こんな一冊の本】



 

 

   世界の路面電車                     

 



 

                   ピエ・ブックス編

 
    
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 ふと思いがけず休みが舞い込んで、有難いのにさあどうしようと
 思った
時、頭の中に何もストックされていないことに気づきます。

 
最悪、のべーっと日が暮れるまでごろごろしていようか、そんな
 自堕
落なところに行きつくのです。それがです、こころの調子が
 
よければ、もっとポジティブ思考になります。お金をそれほどか
 けないで、ゆっくりとお出かけしようと。

 
そういえば、都営荒川線全線に乗ったことないから、行ってみよ
 うかしらなんて、浮かんでくるのです。ましてや、1人
ではなく
 一緒してくれる人が見つかったら、「おお!もう小旅
行だ」と叫
 んでいるでしょう。

 

 言い古された表現かも知れませんが、「男の子」って本当に“乗
 りもの”が好きですね。ご多聞にもれずのるまんじいも
小さいこ
 ろから電車が好きだったようです。JR中央線の線路を
またぐ陸
  橋まで連れて行ってもらっては、飽きることなく電
車の往来をお
 ぶわれながら喜んで見ていたと叔母たちのよく
笑いのネタにされ
 ていました。

 

 「三つ子の魂」なんとやらと言いますが、そんな訳でこの年にな
 っても電車なんかに乗ると心がうきうきしてきます。で
きれば、
 運転席がのぞめる先頭車両を陣取りたいものです(
笑)。例え自
 分が乗ったことがなくても、愚息なんかが「○○
に乗った」なん
 て言い出しますとそれだけでわくわくしてく
るからヤバいです。   
 (○○とは、例えば「くろしお」だとか「
カシオペア」といった
 列車名が入ります)

 

 そんなのるまんじいが、図書館の“注目コーナー”で出会ってし
 まったのが本書『世界の路面電車』という1冊です。

 

 東京では、路面電車といえば、都営1系統、早稲田〜三ノ輪間(
 荒川線)と、東急世田谷線が下高井戸〜三軒茶屋間で活
躍してい
 ます。どうも銀座〜晴海間でも走らせようという動
きがあるよう
 ですね。いやあ実現したらうれしいですね。こ
んなこと書いたら
 叱られるかもしれませんが、無人自動運転
の「ゆりかもめ」が開
 通した時よりもっとうれしいですよ!

   

 路面電車は普通の電車に比べて、より街の風景に色濃くとけこん
 でいるように思われ、親しみを感じます。

 

 まず、本書の表紙をごらんください。

 

 窓を大きく取ってまるでケーブルカーのような、黄色とベージュ
 のツートンカラーの、歴史を感じる車両が石畳の細い坂
道を、そ
 れも洗濯物が干してあるような生活感のある道を力
強く登ってく
 る(あるいは下っていく)写真です。向こうに
望めるのは、大西
 洋でしょうか。

 

 ポルトガルの首都リスボンの旧市街で撮られたようです。ヨーロ
 ッパ各国ではたくさんの路面電車が活躍しています。ス
ペインの
 サンチャゴに至る「巡礼の道」が南北に走る歴史あ
り、風情あり
 の土地ですから、よりよく似合っていると思い
ます。

 

 ポルトの市街を流れる川をまたいで走る新型車両のなんともスマ
 ートなこと。のんびりとした時間の流れの中をゆったり
と走る路
 面電車の中にあってスピ−ド感を感じます。

 

 ここではポルトガル、スペインでの写真が多く収められています。   

 

 チェコのプラハの路地を行く丸みを帯びたブルーとライトグリー
 ンの新型の車両の写真を見たときは、思わず「ワォー、
いいなあ」
 と叫んでしまいました(笑)。またフランスで使
われている車両
 はどれもおしゃれで楽しいですね。

 

 北欧や南半球や香港での車両もここでは掲載されています。

 

 これからの連休を迎える方で、どこも混んでていやだけど、さり
 とて家の中ばっかりにいるのもいやだとお考えであれば
路面電車
 の旅をお勧めします。もしお近くに走っていなけれ
ば、ここは本
 書で空想路面電車世界の旅をお楽しみください。のるまんじい、
 路面電車も好きで一番最近に乗ったのは札幌市内をのんびり走る
 ものでものでした。近いうちに新型車両導入なんて言ってなかっ
 たでしょうか。ちなみにのるまんじいの「最近」というのは、非
 常曖昧でして、10年ぐらい前でも「最近」としてしまいがちです。
 このあたりご理解ください。

 
一般向け。「鉄チャン」「鉄子」に限らず多くの方に楽しんでい
 ただけると思います。旅好きのあなたにもお薦めです。

 


  ==============================================

 

 

 

    世界の路面電車 


     
              

 

 

                   ピエ・ブックス編

 

 

 

         2011年4月 初版 ピエ・ブックス刊

             

 

 

              ピエ・ブックスのホームページは

    

               http://www.piebooks.com/

 

 

 

 

    
 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
   
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# 「長めのいい部屋」
JUGEMテーマ:オススメの本

   

    長めのいい部屋      
              

 


 

 

        フジモト マサル/作      

 

 

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 ある絵本を調べる必要があってパソコンで検索していって、
ひっ
 かかったのが、単行本の『長めのいい部屋』でした。

 

 まっ赤なソファにシロクマが2頭座って、なごやかそうに何か
 しています。1頭は雑誌を持っています。

 

 ほのぼののとした雰囲気が漂うこの絵を見て、まずぐっときちゃ
 いました。では、ではと図書館から借り出したのですが、
対面し
 たのは、文庫本でした。ちょっとがっかりです。表紙
も最前の絵
 ではなく、赤いドアをシロクマが部屋から開けて
いるものでした。
 まあ、世の中なんてそんなもんですよね
()

 

 裏表紙を見たところ、こんなことが書いてあります。

 

    シロクマとヒツジとヒトが/おなじ空気で暮らす街。

    住人たちに耳を澄ませば/よく知る誰かの声が聞こえる。

    子供の正直と/大人のユーモアが出会った

    極上のくつろぎ絵本   

 

 絵本とありますが、コマわけがされていますから、どちらかとい
 うと、コミックのようです。今は休刊中の隔月刊誌『雑
貨カタロ
 グ』
(主婦の友社/刊)に連載されていたものだそうで
す。

 

 それはともかく。

   

 人間のほか、登場するものすべてが当たり前のように口もきくの
 です。気がつけば何て上手な日本語だろうって
()。そ
れがあま
 りにも自然で、本当にみんないっしょに同じ空間で
日常を暮らし
 ていそうな、そんな気分になりました。そうそ
う、こちらが思っ
 てもみない住民も出てきます。さて、どん
な方が住んでいるでし
 ょう?それは、読んでのお楽しみといたしましょう

 

 のるまんじいが、好きな2編を挙げてみます。

 

 どこかのインテリアショップのフロアーにおいてある長く赤いソ
 ファをネコが気にいるのですが、値段が高くて手が出ま
せん。ど
 こぞの「お値段以上〜」なんて
CM音楽が頭を過ぎ
ります(苦笑)
 そこへ若い女性が現れ、同じくソファを気に
いります。彼女にと
 って、求めやすそうです。お互いはじと
はじに座っていましたが、
 ネコが近づいてこう言います。

 

 「カワイイ猫ちゃんを飼ってみませんか?」

 

 たったこれだけですが、なんかいいんですね。いかにもネコらし
 いというか。全編を通して使われている色は、赤、白、
黒、そし 
 て、灰色だけです。この先、ネコどうなるんだろうと
思っていま
 したら、後でまた出てきます。

 

 さて。近ごろ、シェアハウスが注目されていますが。

 

 ここでは、ルームメイトを募集しているライオンが出てきます。
 もちろん、パートナーを「ガゼル」に限るなんてことは
言いませ
 ん。条件が愉快です。

 

 「バターケースの中のバターを取るとき、上からこそげとるか、
 横から切るか」なんですって。これに合格して、無事パ
ートナー
 になったのは……。

 

 さてさて。それこそ蛇足だと言われてしまいそうですが。

 

 「長めのいい部屋」なんですが。

 

 どうも気になりまして。「長め」って、奥行きが深いということ
 だろうか、それとも横に「長い」部屋なのだろうかと。
それによ
 って、受ける感じが随分と違うなあとひとりごちた
次第です。

 

 それに、『長めのいい部屋』を音読しますと、どうしても「眺め
 のいい部屋」が頭に浮かんでくるのです。このへんにも
作者のフ
 ジモトさんの計算が働いていそうで。

 

 そんなことを考えていましたら。

  

 どうして『長めのいい部屋』なんだろうか、どうして『眺めのい
 い部屋』じゃないんだろうかと、気になりまして。これ
はフジモ
 トさんじゃないとわからないですよね。でもなんだ
かその疑問を
 持ったことに小学生のようにうれしくなりまし
た。

 

 「そんなの知るかよ」って言われそうですね(苦笑)。 

      

 一般向け。どの世代の方でも楽しめると思いますが、ある程度年
 輪を重ねた年代の方ですと、より深く味わえるように思
います。
 一読をお薦めします。

 


 ================================================

 

 

 

   長めのいい部屋                     

 

 



 

        フジモト マサル/作  

 

 

            2005年5月 初版 中央公論新社刊

             

 

 
  
          中央公論新社のホームページは

 

    http://www.chuko.co.jp/

 

           

   
 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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# 「三千院の四季 水野克比古写真集」
JUGEMテーマ:オススメの本

 

 

  【こんな1冊の本】

 

 

 

  三千院の四季                      

 

 


         水野克比古写真集

 


          

水野 克比古/著    

 

 

      
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   京都大原三千院

 恋に疲れた女が一人

 結城に塩瀬のすがきの帯が

 池の水面に揺れていた

 京都大原三千院

 恋に疲れた女が一人



 
いずみたくさんが曲を、永六輔さんが詩を書いて、デューク・エ
 
イセスのみなさんが歌って一世を風靡した「女ひとり」の1番
 歌詞です。

 

 何とも日本的情緒の漂う歌詞でしょう。“結城”も“塩瀬”も
 素描き”も何だかチンプンカンプンだった高校生の頃、ただ
ただ
 大原を訪ねてみたくなったことでした。

 

 三千院と聞いてピンとこの歌を思い出すのは、おそらくのるま
 じいよりも年上の世代の方だろうと思います。

 
その三千院のある大原は洛中からみて北北東の方角にあり、建
 門院が隠れ住んだのを始め、隠棲の地と呼ばれていました。
目を
 少しばかり東にやれば、そこに比叡山延暦寺のあることに
気づき
 ます。延暦寺はご存知のように天台宗の開祖、伝教大師
最澄が開
 いたお寺で、織田信長の焼き打ちに遭ったことでも知
られていま 
 す。

 

 三千院はその延暦寺の末寺になりますが、天台三門跡の中の“
 井門跡”と呼ばれ、古くから皇室と縁の深いお寺でありまし
て、
 江戸時代には文化サロンの1つでもあったようです。

 

 そんな格式の高い寺院の四季を追った写真集がこの1冊です。

  

 同じ高校生の頃、古典の授業で『平家物語』を習い、後白河法
 が建礼門院を訪ねる「灌頂の巻」の「大原御幸」をその時の
教師
 から聞き、それからもうずっと妄想の世界でした。一種、
憧れの
 ようなそんな感じです。大原を訪ねたくなったのは、こ
ちらの方
 が大きいかも知れません。

   

 大原は市内に比べてより冬は寒く、かつ清澄な地であると思い
 す。都人は大原の地に“極楽”を見出したのではないかと思
わせ
 るほどの現世とは異なるそんな美しさがあるといったら言
い過ぎ
 でしょうか。

 

 みなさんがこの本を手に取られた時、表紙になった1枚の写真
 のるまんじいが書いたことが決して大袈裟でなかったことを
お知
 りになるでしょう。

 

 新緑の樹々と青苔の美しさに目をみはることでしょう。

 

 そして、ページを繰るごとに新しい世界が展開していきます。

 

 まずは、枝垂れ桜と山桜が競い合うように咲き誇っています。
 れも人工物とちっとも不自然ではなく調和しています。この
さく
 らたちと出会うだけのために彼の地を訪れてみるのも楽し
いだろ
 うと思わせてもらいました。

 

 さくら狩りを楽しむ身にとっては、洛中の桜を愛で、さらに三千
 院まで足をのばせるというのは、有り難いことですね。

 

 ふと、「入相(いりあい)の鐘」を思い出してしまいました。
 くらの花のはらはらと舞う日暮れどき、そう、日が今にも山
の端
 に隠れるころ、何処からか聞こえてくる鐘の音に耳を澄ま
せます。
 森鴎外は『高瀬舟』の中で、「智恩院の桜が入相の鐘に
散る春の
 夕べに」とそれは美しく描き出しています。山里の大
原の方がよ
 り似合うようにのるまんじいは勝手に思います。

   

 写真の方は季節を追って、夏、秋、冬と写し出されていきます。

   

 春の美しさは殊のほかではありますが、それに対して紅葉狩り
 楽しむ今ごろは、胸中に何かはわかりませんが、寂しさを秘
めて
 います。

 

 冒頭の『女ひとり』を思い出してみてください。この詩に季節は

 描かれていませんが、頭の方は紅葉のこの頃を勝手にイメージし

 ています。

 

 京都駅から少しばかり遠い、大原を訪ねるにはおよそを計画に抱
 
き合わせるには難しくなります。高校生ののるまんじいが大原を
 
訪ねたのはほんの少し紅葉に早い頃でしたが、大原の地に宿を取
 
りました。なんて言うと、カッコよく聞こえますが、そのころあ
 
った小さな民家のユースホステルに、でした()

 
翌朝、三千院の開門に合わせて、お参りすることにしました。行
 
く道の脇にはすでにお土産屋さんが店を開いています。今でこそ
 “しば漬け”も珍しくありませんが、当時のことですから、早速
 
お味見をさせてもらったでしょう、のるまんじいのことだから。

 
一歩境内に入れば、空気は清涼そのものでした。ひんやりとした
 
ではなく、きりっとした、あるいは凛としたというのでしょうか、
 一段と違った空気が
そこに流れていたことだけは覚えています。
 洛中にある寺院とは雰囲気も
また違う感じでした。

 
それまでに写真で見たものと同じ景色が眼前に広がっていたので
 す
が、それを五感で受け入れるとまた世界は大きく違うものです。
 
その時は、特に肌で感じたのでしょう。

 
それでも、そう容易く行けるところではありませんから、お手軽
 
に写真集を繰って仮想の旅を楽しむのも悪くはないものです。

 

 さて。

 

 次は、次はと心は逸りますが、それはどうぞみなさん実際に本
 をお手にお取りになってご覧ください。

 

 一般向け。どなたでも。こういう本のよさがわかる若い人が多
 いてくれたらのるまんじいはうれしいです
()

 

 

  ==============================================

 

 

 

    「女ひとり」  デュークエイセスで

 


http://www.youtube.com/watch?v=ZMFllRWuxfE

 

 


  ==============================================

 

 

 

    三千院の四季                      

 

 

    水野克比古写真集

    



                 水野 克比古/著

            
 

                    
2005年4月 初版 東方出版刊

             

 

       東方出版のホームページは


             http://www.tohoshuppan.co.jp/

 



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# 「フェルメールの食卓 暮らしとレシピ」
JUGEMテーマ:グルメ
JUGEMテーマ:オススメの本
 

 

 

  【こんな一冊の本】

 

  

 

       フェルメールの食卓

 

  

          暮らしとレシピ

 

 

 

 

 

                  林 綾野/著

 

 

 

  
   ===============================================

 

   

   

 ここ何年か、フェルメールの絵画が日本にやってきている。

 

 『牛乳を注ぐ女』が、2007(平成19)年に国立新美術館で開催さ
 た「フェルメール『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」に
おい
 て日本で初公開されたのは記憶に新しいところだ。

 

 当時、テレビ番組でも紹介され、この作品に秘められた謎を解
 明かすというので話題になった。

 

 わが知人にも「フェルメールが来た!」とばかりに、おっとり
 で駆けつけた方がいた。帰ってからは「少女の目」になって
熱く
 感想を聞かせてくれたものだった。それを「そうかい、そ
うかい
 」と返したのだった。

 

 昨年春には、『地理学者』が『フェルメール《地理学者》とオ
 ンダ・フランドル絵画展』で公開された。たまたま近くまで
用事
 ができたのるまんじいも小悪魔クンと待ち合せてちゃっか
りのぞ
 いてくることができた。海外に勢力を広げていたオラン
ダを、そ
 して航海術を始め最先端にある「地理学」を学ぶ者の
意志をはっ
 きりと感じさせる1枚ということでより関心を持つ
ことができた。
 次いで秋には京都で、東京では今春『フェルメ
ールからのラブレ
 ター展』が開かれた。

 

 ミーハーなのるまんじいはもちろんのことだが、日本人はフェ
 メールの絵が好きなのだと思う。中には、『恋するフェルメ
ール 
 37作品への旅』を書かれた有吉玉青さんのように世界
中に散ら
 ばる作品を追い求める方、ぶっちゃけていえば、「追
っかけ」も
 少なくないようだ。何と羨ましいことか。

 

 それだからか、今年、2012年は、これまた注目の2枚の絵がフ
 ンの目を喜ばせてくれることになった。今月
13日から東京西
洋美
 術館で「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の
400年」
 が、開かれているが、そこで『真珠の首飾りの少女』を
観ること
 ができる。また、きょう
30日からは東京都美術館で開催
される「
 マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵
画の至宝」
 展において『真珠の耳飾りの少女』がいよいよお目
見えする。少
 女のターバンの所謂「フェルメール・ブルー」は
注目の的だろう。

 

 2つの美術館、歩いたって大した距離ではない。欲張っていっ
 んに観ることだって十分に可能。暑さ対策をして行こうか。
炎天
 下長時間並ぶなんてとってもダメっ!そんなのまっぴら!
だった
 ら、日を分けるか。どちらも9月
17日(月・祝)までと
いう期日
 になっているし。

 

 と、まったく本書の紹介にならないまま、ここまで来てしまっ
 が。

 

 あれはいつのことだったか、『地理学者』を観る前だったこと
 確かだったけれど、ある時、はたと気がついたのだった。

 

 フェルメールって、いつの時代の人?どんな暮らしをして、あ
 名画たちを生み出していったの?と。

 

 ルネッサンスほどは古くない?印象派よりはずっと前?考えて
 れば、分からないことだらけだった。

 

 そんなもやもやを抱えた時間が流れて行った、そんな時、『牛
 を注ぐ女』が表紙を飾る本書『フェルメールの食卓 暮らし
とレ
 シピ』とばったり出くわしたのだった。

 

 ヨハネス・フェルメールは1632(寛永9)年にオランダ・デルフ
 に生まれる。レンブラントと共に
17世紀のオランダ美術を代
表す
 る画家とされる。寛永年間といえば、長崎に出島が築かれ、
また
 島原の乱が起きている。作品数は
3336点とされ、寡作と
いえる。

 

 本書では、「はじめに」で「17世紀オランダ『黄金時代』」を
 っている。

 

 航海術の発達により、世界の海へ乗り出していったオランダ。
 ペインから独立したばかりだった。プロテスタントを国教と
して
 慎みと労働を美徳とする商人たちや市井の人びとの暮らし
は豊か
 だった。インドや東南アジア、南国からは、スパイスを
始めとし
 て珍しい果物や食材が。トルコの絨毯、日本の着物、
中国の陶磁
 器が輸入された。

 

 フェルメールの“生きた証し”は、オランダの市役所や教会に
 時の人びとの記録の中に残されている。「洗礼」「結婚」「
マイ
 スター
(親方)」「お金の貸し借り」「相続」「墓の購入」
……。
 「記録好き」のオランダ人のおかげだと筆者は書く。フ
ェルメー
 ル本人のサインを実際に見たそうだ。サインの後ろに
竜巻形のカ
 リグラフィーも添えられ、ちょっとした画家のこだ
わりと遊び心
 が感じられたと。

 

 これらの資料やサイン、またフェルメールが生きていた頃を思
 せるデルフトの写真が載せられているので、ぜひご覧いただ
きた
 い。

 

 本題の食卓であるが。

 

 当時、井戸水は飲むことができず、水分補給といえば、老若男
 を問わず、朝から専らビールを飲み、富裕層はワインも飲ん
でい
 たとか。

   

 主食は「パン」で、ミルクやバター、チーズが食卓にのぼるの
 今とそう変わりはなさそうだ。

 

 1度しかオランダを訪ねたことはないけれど、小さなホテルの
 食でも、品数も多く豪勢だった。朝は、クロワッサンとコー
ヒー
 だけというフレンチスタイル(?)とは大違いだった。

 

 大きな違いといえば、当時はフォークを使わず「手づかみ」で
 事をしていたそうだ。これには、「神から与えられた食べ物
は、
 人間の手そのもので食べるべきで、道具に頼るべきではな
い」と
 いう宗教観もあったようだ。ということは、「熱々の料
理」とは
 いきにくかった……。ジャガイモはまだオランダには
なく、食べ
 られていなかったが、ニシンや牡蠣、ホウレン草や
アスパラガス
 が食卓を飾ったそうだ。

 

 そこで、より具体的に当時の料理本『賢い料理人』に掲載され
 いるレシピを始め、オランダではおなじみの料理を再現して
読者
 の目を楽しませてくれる。

 

     
   サラダ 

 

      オランダらしいバター・ドレッシングをかけて

 

 

   ホワイトアスパラガス

 

      ビネガーと胡椒をかけて

 

 

   牡蠣のシチュー

 

      牡蠣には「秘められた恋」という隠れた意味が。

 

 

   パンプディング

 

      「牛乳を注ぐ女」からのレシピ。おいしそう。

 

 

   マスタードスープ

 

      さっぱりとしたマスタードの酸味が決め手。

 

 

   チコリのグラタン

 

      日本ではまだおなじみとは言い難いチコリだけれど。

 

 

   サーモンのオランデ―ズソース添え

 

      ニシンに次いでよく食べられているそう。

 

 

   ダッチシチュー

 

      半日コトコトすれば、できあがり。

 

 

 フェルメールとその家族たちはどんな食卓を日々囲んでいたこ
 だろう。

 

 フェルメールの晩年、さしものオランダの黄金時代に陰りがさ
 始める。それと時を同じくして、フェルメール自身にも困難
な冬
 の時代が襲来する。

 

 第3次英蘭戦争の影響で経済が低迷し、しかも若手画家の台頭
 フェルメールは絶頂期のような人気がなくなったそうだ。戦
争後、
 1枚の絵も売れなかったそうだ。まだ8人の子どもが未
成年で(
 時は
25歳まで未成年だった)、大量にかかえた負債を
なんとかしよ
 うとして必死に駆け回ったが、失意のうち、43
歳で亡くなった
 そうだ。その後、妻が自己破産申請をして、認
められている。

 

 晩年という時代はたった四半世紀前まで活躍していた画家の4
 の1までその数は激減したという。

 

 そうしてみると、時代という荒波に翻弄され、抗いながら無念
 思いの中で生涯を終えた画家といえそうだ。「静謐の画家」
の奥
 底にある喘ぎを頭の隅においておきたいものだ。

 

 一般向け。フェルメールのファンの方を始め、オランダに関心
 持たれた方、また絵画好きの高校生以上のみなさんに一読を
お薦
 めさせていただきたい。

 

 

 

  

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| comments(6) | trackbacks(0) | 07:01 | category: 書籍 「絵画 漫画 写真 書道」 |
# 「礼文島花物語 あつもり草の涙」
JUGEMテーマ:オススメの本
 

 

 【こんな一冊の本】

 

 

 

    礼文島花物語 あつもり草の涙

        

 

        


 

                杣田 美野里/著・写真

 

 

 

   
 ================================================

 

   

 

 今年、NHKテレビが放送している大河ドラマは、みなさんご
  知のように「平清盛」だ。視聴率低迷で世間がいささか喧しくあ
 るが、番組そのものはおもしろいと思っている。
 

 中心の平氏にあって、悲劇の若武者、平敦盛に注目している。

 

 平安時代の末期、平清盛によって頂点を極め「平家に非ずんば
 人に非ず」とまで権勢、栄華を誇っていたかの平家一門もま
た“
 驕れるものは久しからず”のならいのごとく、源氏の攻撃
の前に
 京の都を捨て、西国に落ちて行くことになるのだった。

 

 そして。

 

 一ノ谷の合戦で源氏方の武将熊谷次郎直実と対峙したのが弱冠
 え年16歳の若武者平敦盛その人だった。このあたりは『平
家物
 語』に詳しく、また謡曲、歌舞伎の演目にもなっている。

 

 敦盛が名笛をその時に携えていたことをふいに思い出すと、こ
 な唱歌が頭をかすめた。

 

 

 

        青葉の笛

 

                   作詩 大和田建樹

                   作曲 田村虎蔵

 

 

    

     一の谷の 軍(いくさ)やぶれ

     討たれし平家の 公達(きんだち)あわれ

     暁(あかつき)寒き 須磨の嵐に

     聞こえしはこれか 青葉の笛

 

 

     更くる夜半に 門(かど)をたたき

     わが師に託せし 言の葉あわれ

     いまわの際まで 持ちし箙(えびら)

     残れるは「花や 今宵」のうた

 

 

 明治391906)年に作られた作品だそうで、もちろん学校で習
 たというものでは全くない。どういう訳でかおぼろげながら
記憶
 の片すみにあったらしい。下手をすると楠正成、正行(まさ
つら)
 親子の『桜井の別れ』とごっちゃまぜになりそうなぐらい
だ。敦
 盛が所持していた名笛の名前が「青葉の笛」だという。

 

 2番の歌詞については、以前「『シゴ』の世界で遊ぶ?」で取り
 上げ
た。主人公は平薩摩守忠度のことであって

 

   「さざなみや 志賀の都は 荒れにしを 昔ながらの 

 

   山桜かな」

 と詠んだ和歌からきている。物哀しい曲調の歌で
ある。

 

 さらに言えば、信長が好んで舞ったという「人生五十年、下天
 うちを比ぶれば、夢幻の如くなり」というのは幸若舞『敦盛
』の
 中の一節で、直実が出家したあとの無常観をここでは表し
ている
 のだという。  

 

 そんな話をこの写真集「礼文島花物語 あつもり草の涙」を見
 思い出した。「あつもり」にはどこまでも“悲劇”という文
字が
 ついて回る。 

 

 アツモリソウの名前は、袋状の唇弁(しんべん)を持つ花の姿を、
 平家物語に描写された平敦盛の背負った母衣(ほろ;後方
からの
 矢を防ぐ武具)に見立ててつけられているという。

 

 なお語れば、アツモリソウより一回り大きいものがあり、これ
 クマガイソウ(熊谷草)と呼ぶ。「クマガイ」と「アツモリ
」と
 誰がそう呼び始めたか定かではないが、あまりにも名前と
容姿が
 ぴったりあっていて、しかも風情が感じられなるほどと
思ってし
 まう。

 

 ただ、可憐さからいえば、やはりアツモリソウに軍配をあげた
 なる。好みは個人のものだが、美少年を思わせるような気品
と風
 格を備えた花にひかれる。その姿はどこまでも清楚であり
、“凛
 とした少年”と呼ぶに似つかわしいと思う。

 

 では、なぜ、その“アツモリソウ”に悲劇を感じるのかである。

 

 本書の題名を思い出していただきたい。「あつもり草の涙」と
 る。

 

 美しすぎるがゆえに、そして貴重だから故に、アツモリソウの
 乱獲」が今でもあとを絶たないという。人の手から自ら逃げ
るこ
 とのできない「絶望」から、「悔しさ」からアツモリソウ
が流す
 「涙」とでも解釈できようか。

 

 人間の欲望とはどこまでも限りのないものである。「野におけ
 ンゲソウ」ではないが、自然にある草はそこにあってこそ輝
き続
 けるものなのに、「自分の身近に置いて愛でたい」という
、ある
 いはそういう欲求を商売にしようとする、そんな人間の
我欲のた
 めに無惨にも摘み取られて、いやそんな生ぬるいこと
ばでなく、
 大量の盗掘にあっているのである。

 

 その昔、ボーイスカウト活動をしている時に、こんなことをス
 ウトたちに言ったり、他の指導者たちから言われたりしたこ
とが
 ある。「どこかに出かけて帰る時に残していいのは、『足
跡』だ
 けだよ」、と。「ゴミ」を捨てるなよと。そして、植物
を採取す
 るなよとの戒めがそこにはあった。

 

 当り前のことを当たり前のように教えられ、次の世代に、そし
 またその次の世代に伝えていくはずのことなのに、「オトナ
」が
 どうかしちゃっているのである。

 

 この本では、日本最北の島、高山植物の島、礼文島に自生する
 レブンアツモリソウ」にスポットライトをあてている。

 

 まず、表紙をご覧いただきたい。

 

 淡黄色と表現すればいいのだろうか、そこに緑色の色素を含ん
 ような自然にしか作り出せない色の一輪の花。母衣のように
ふく
 らんだこの造形の美。

     

 その「レブンアツモリソウ」を礼文島在住の写真家で筆者の杣
 さんは1年を通して撮影なさっている。   

 

 長かった冬が去り、やがて北の島にも遅い春の気配がやってくる。
 それとともにふきのとうが魁けて顔をあちこちに出す。や
がて木
 々が芽吹き始める。マイヅルソウの丸い芽の近くで、ア
ツモリソ
 ウが尖った芽を出している。

 

 5月半ばごろになって、やっと「小さな満月」、そう呼ばれる
 イズルソウがほころび始めるのだ。種子からこれまで、6年
も7
 年もかかって。

 

 下旬にもなれば、エゾノハクサンイチゲやレブンコザクラも咲く。
 海の向こうにはまだ雪を冠した利尻富士が聳える。

 

 レブンキンバイソウやマイヅルソウも競って咲き出す。

 

 レブンアツモリソウの蕾がふくらみ始めるのはもうすぐ6月と
 うころだ。

 

 そして、花がほころび始める。

   

 レブンアツモリソウは蜜を出さない花。香りもわずか、ごほう
 もないのに虫たちはせっせと花粉を運んでくれる。

 

 ニッコウキスゲが、レブンウスユキソウが咲くころ、アツモリ
 ウはすでに花弁をしぼませている。

 

 とにもかくにも多くの方にこの本にふれていただきたいと思う。

 そして、この花のあることを知っていただきたい。

 

 開花期間には24時間体制で監視員がパトロールをして、花を守
 ているそうだ。

 

 のるまんじいも礼文島まで出向いて、遊歩道を1度歩いてみた
 と思っている。ただ、奈何せん遠い、というか遠すぎる。

 

 今年も無事に開花の時を迎えたようだ。礼文島観光協会の「201
  2
年花情報館」でレブンアツモリソウの開花の様子やほかの花

 を楽しむことができる。

 

 なお本書を、北海道民から「道新」の名で親しまれている地元誌、
 北海道新聞社が出版していることを添えておきたい。ちな
みに東
 京都内の図書館の蔵書を検索してみたところ、都立図書
館、江東
 区、立川市の図書館に所蔵されているようだ。

 

 一般向け。高山植物を愛する人、ハイカー、山ガールにはぜひ
 とお薦めする。いや、小学生以上すべての年代の方にお薦め
しよ
 う。

 

 

 

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| comments(0) | trackbacks(0) | 07:16 | category: 書籍 「絵画 漫画 写真 書道」 |
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