「そうだ、京都に住もう。」

  • 2015.03.30 Monday
  • 00:00
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
        そうだ、京都に住もう。
 
 
 
    
 
                  永江 朗/著
 
 
 
 
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   いつもの如くだが、本書の題名にまず“グッ”ときちゃった。
 
   JR東海のテレビCMの「そうだ、京都行こう」からつけた題
   名だろうけれど、思わずいいなあ、そのセンスを持ち合わせて
   いることを羨ましいなあと思った。
 
   前知識はその程度。
 
   早速図書館の蔵書検索を。
 
   初めて手に取ったのが新刊本としてまだ世に出たての2011(平
   成23)年11月のことだった。その時は同じ永江朗氏のこれまた
   新作の『広辞苑の中の掘り出し日本語』(バジリコ/刊)も一緒
   に借り出して。
 
   それから、きょうまで心の片隅にずっと本書『そうだ、京都に
   住もう。』はあった。何回か図書館から借りる、返すを繰り返
   して、記事にできず、その度に“残念”とため息をついたこと
   か(苦笑)。
 
   さて。
 
   本書はいきなり序章で生々しく(?)幕を開ける(笑)。
 
   2010(平成22)年3月30日、この日の午後、妻と私は京都市内の
   家を買った。
 
   と。
 
   当日、東山は雪をかぶり、快晴。
 
   さくらの花の咲き乱れる風情とは違ってまだ春は浅い。
 
   契約の前に、東寺に寄って、空海の特別展に顔を出し、空海の
   書に関心が湧いていて、とあった。わかるなあ、その気持ちと
   まず同じ気持ちに。
 
   出町柳近くの銀行で契約の手続きを。
 
   それにしても、京都市内を縦横に動く永江氏。フットワークが
   おそろしくいいなあ。東寺はJR京都駅の南で、出町柳は北の
   方角に戻ることかなり。
 
   さて。
   
   その契約だが。
 
   支払いはすべて現金で行われるのだそうで、驚く。売り主はそ
   の現金を受け取るために京都ではみな“ゴミ袋”を用意すると
   雑談の中で。やがて現れたその方もそのときにさっとゴミ袋を
   取り出して…だった。
 
   ということで。
 
   本書は今、わが膝の上にある。
 
   白地に大きく題字がマーカーのごとくにしつらえられ、
 
 
             そうだ、
 
             京都に
 
             住もう。
 
 
   句点の上にはローマ字表記で同じことがデザイン的にある。
 
 
   その下に著者、永江朗氏の名前が、さらにその下に、着尺に袴
   姿で正座する著者の姿が。
 
   これで、著者夫妻がなぜ京都に居を構えようとしたのかわかっ
   たような気がした。
 
   ともかく、まずは章立てから見ていくことにしよう。
 
 
    第1章   私たちが京都を選んだ理由
 
 
    第2章   どんなふうに暮らすか
 
 
    第3章   いよいよ工事が始まる
 
    
    第4章   京都の住み心地
 
    
   このほか、
 
 
    ガエまちやの裏側 1 物件探し編
 
 
    ガエまちやの裏側 2 設計編
 
 
    ガエまちやの裏側 3 施工編
 
 
   附録 ヨソさんにも優しい京都案内
 
   などが載っており、京都観光、グルメスポットも文章中にふ
   んだんにあり読む楽しさは倍加する。
 
   家の図面が載っていて、「ああ町家だなあ」とひとりごちる。
 
   続いてカラーの口絵写真が8ページに渡ってあり、もう興味
   津々。後でリノベーションとわかるが、「いいなあ」と。そ
   して、人生、やっぱりお金がなくちゃね、と痛感する。
 
   まあ、それはのるまんじいの個人的な愚痴であって(苦笑)。
 
   本編で永江氏は「なぜ、京都だったのか」から語り始める。
 
   そもそもの始まりは茶室だった。
 
   やっぱりな、そうだろうな。
 
   2002(平成14)年の暮れに夫妻はお茶を習い始めて。最初はよ
   くある物珍しさと和菓子のおいしさにに惹かれてのだったの
   が、お茶の奥行きの深さが見えてくるにしたがって、茶室が
   ほしくなった。
 
   わかるわかる、その気持ち。
 
   東京の家とは全然違うところに茶室がほしいと。つまり、茶
   室つきのセカンドハウスだという。
 
   ならばだ。

   
以前ご紹介させていただいた「樋口可南子のものものがたり」 
    (清野恵里子/著 集英社/刊)の樋口・糸井重里ご夫妻も同
   くで、京都に「第二の居」を
造られたのだった。その時も
   と羨ましいことかと嘆息したのであった。

 
   のるまんじいは京都・奈良に限りない憧れを抱き続けている。
   その熱はこの歳になっても止むことはない。京都に住むなら
   どの辺りがいいだろうか。永江氏夫妻の考えと自分の思いを
   合わせながら場所選びを読むのが楽しかった。
 
   どうせ架空だからとのるまんじいが思い描くのは、高級住宅
   街の岡崎あたり、哲学の道近辺、それからこれまた以前ご紹
   介させていただいた梨木香歩さんの「家守綺譚」(新潮社/刊
   )の主人公綿貫征四郎が住む舞台。そして洛北、ちょっとア
   クセスがどうかと思いながらも、永江氏も候補に挙げられた
   一乗寺あたり。また、光悦寺がある鷹ケ峰なんかもおもしい
   かな。時雨れたしっとりさがたまらなかった。
 
   でも、現実的には洛中が便利なんだろうな。
 
   奈良にはまたとても魅力を感じるが、本書にも登場しないか
   ら、今回は奈良は省くとしよう。
 
   最初に永江氏が候補にあげていたのは、銀座・青山・そして
   京都だった。
 
   京都を考えた理由がいい。
 
   まず、朝起きたら散歩に行きたい。散歩したくなるような場
   所がほしい。(賛成!)
 
   散歩のついでに喫茶店で朝ごはんを食べる。(いよいよ賛成!
   )
 
   京都では東京と違って朝は喫茶店で食べたいし、昼・夜も外
   食の頻度を東京より多くしたい。(わかるなあ)
 
   徒歩圏内に書店や古書店もほしい。(意外に書店がないところ
   が多い)
 
   それで。
 
   西は堀川通、東は鴨川、北は丸太町通、南は四条通に囲まれた
   内側で探すことになる。
 
   京都大好き人間のみなさんならもう最前からのるまんじいの紹
   介なんか鬱陶しくて仕方がないであろうし、未読であればすぐ
   に書店なり図書館なりへと行動を起こしたくなるような魅力に
   あふれた1冊だと思う。
 
   どんな町家を探して、それをどうやってリノベーションするの
   か。設計はどうするのか。そして工務店はどこに依頼するのか。
 
   こだわり満載の著者夫妻である。たとえ茶室に興味がなくても
   おもしろくて仕方ないと思う。
 
   こだわりの“極み”として、のるまんじいが取り上げたいのが
   永江氏が1階のリビングにウィリアム・モリスの「いちごどろ
   ぼう」の壁紙を使いたいと飽くことなく探す。口絵写真には同
   じウィリアム・モリスの「アネモネ」を屋根裏部屋に使ったも
   のがあるのだ。
 
   面白い。
 
   後はもうみなさんにお任せすることにしよう。
 
   お茶がしたければ、やはり京都の空気を吸っていたい。老舗の
   茶舗も大小あるし、美味しい和菓子屋を供するお店はきら星の
   ごとくあるし、料理をお願いできる店も多い。
 
   また、美術館もあまたあるし、飽きることはあるまい。
 
   いつだったか例の盟友女史と語らっているときに、そんなに長
   い間でなくてもいいから、京都に住んで京都の空気を感じてみ
   たいとそう女史は話していた。
 
   住み着いたら離れられなくて怖くなりそうな気がのるまんじい
   は大いにする。月釜茶会に顔を出し、あちこちの寺社を訪ね、
   美味しいものを食せれば、楽しいこと限りない。また知己を得
   て、茶事にでも声をかけていただけたら、堪らないだろう。
 
   粟田(あわだ)焼のいいのを見てみたい、そう思うのだ。
 
   いやはや、すっかり妄想の世界に入り込んでしまったらしい。
 
   一般向け。特に京都大好き人間のみなさんには一読をお薦めし
   たい。      
 
   
 
 
 
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     ルームマーケット、永江氏はここのお世話に
 
 
 
      http://www.roommarket.jp/
 
 
 
 
 
     河井敏明一級建築士事務所は
 
 
 
      
http://www.kawai-architects.com/
 
 
 
 
     ウィリアム・モリス MORRIS150 いちご泥棒
 
 
     いいですねえ
 
 
    
     
http://www.morris150.com/profile/
 
 
 
 
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       そうだ、京都に住もう。
 
 
 
    
 
                  永江 朗/著 
   
 
         
      
          2011年7月 初版 京阪神エルマガジン社刊
             
 
 
 
        京阪神エルマガジン社のホームページは
 
 
 
          
http://lmaga.jp/corp/
     
   
 
   
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「トトロの住む家  増補改訂版」

  • 2014.12.09 Tuesday
  • 00:00
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
        トトロの住む家 
 
 
 
 
 
 
                増補改訂版 
 
 
  
 
 
 
 
                 宮崎 駿/著
                 和田 久士/写真
 
 
 
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   アニメ『となりのトトロ』に登場する、塚森の主、トトロ。
   そのトトロが喜んで住みそうな「懐かしい家」を訪ねてみた。
 
   本書には、まずそう書かれていた。
 
   『となりのトトロ』
 
   1988(昭和63)年に公開された、宮崎駿監督作品の長編アニメ
   作品であることはみなさんご存知のことだろう。
 
   昭和30年代前半の武蔵野、それも埼玉県の所沢から三芳町に
   またがる三富(さんとめ)新田あたりを舞台にして、そこへ引
   っ越してきたメイとサツキの姉妹と、“もののけ”とよばれ
   る不思議な生き物・里主の「トトロ」との交流を描いた作品
   といわれ、現在でもテレビで放送すると視聴率が20%を超え
   る。
 
   なお、挿入歌の「さんぽ」は、絵本『ぐりとぐら』を世に送
   り出した中川李枝子氏の作詞で、小学校の音楽の教科書にも
   掲載されている。
 
   のるまんじいはといえば、所沢市と東村山市にまたがる狭山
   丘陵にある「トトロの森」を歩くという西武鉄道主催のウォ
   ーキングイベントに参加したこともあり、「トトロ」を今で
   も身近に感じている。
 
   そんな自然とともにある「トトロ」が喜んで住んでみたいと
   思うような家を宮崎さんが取材してでき上がったのが本書「
   トトロの住む家」の住む家だ。
 
 
   と、書き出した原稿が残っていた。
 
   一体何年前に書き始めたことやら、当時の本は1991(平成3)
   年に岩波書店から出版されていたからもう随分前のことにな
   る。
 
   武蔵野はのるまんじいが生まれ育った懐かしい地。
 
   間違っても若者たちが思い描くような吉祥寺の表通りのよう
   な華やかでオシャレな様子ではない。
 
   雑木林に囲まれ、けやき並木が続く昼間も陰がある通り。そ
   れをイメージしてほしい。どこまでも続く畑。冬に西を仰げ
   ば雪を冠した霊峰富士が見晴るかせた。
 
   そう、武蔵野は今ごろが似合う。
 
   それが、人口増加とともに林はあっという間になくなり、樹
   木は伐採されその面影もどこへやらと成り果てる日もそう遠
   くないような惨状で目も当てられない。
 
   帰りたいと思う場所、故郷を最早失ってしまった。そんな感
   がある。
 
   それを宮崎駿氏は既に予見なさっておいでだったのだろうか。
 
   まずは、本書の章立てからご紹介させていただくことにしよ
   う。
 
 
 
      人と草木と家が、同じ時を生きて造り上げた
 
 
                杉並区阿佐ヶ谷・Kさん宅
 
 
 
      大きなケヤキの梢の下に草と木がひしめく
 
 
                中野区白鷺・Мさん宅
                 
 
      子供時代の残映を優しく包み込む四畳半
 
 
                杉並区阿佐ヶ谷・Kさん宅
                                  
      
      照葉樹のへと森へと戻るエゴノキの大樹
 
 
                武蔵野市吉祥寺本町・Оさん宅
 
 
      両手でも抱えきれないサクラの木と思い出
 
 
                武蔵野市吉祥寺本町・Оさん宅
 
 
      「闇」と「迷宮」を守り通すおじいちゃんの頑固
 
 
 
                杉並区天沼・Yさん宅
 
 
      「世の不思議」をただよわせる家がいい
 
 
 
      Kさんの家が公園に生まれかわった
 
 
      「懐かしい家」の思い出を風景として継承する
 
 
    こうやって眺めてくるとのるまんじいは建築物の写真が好
    きなのだと、しみじみ思った。
 
    そのどれもこれもが、優しく、美しく、チャーミングで、
    確かに奥の方にトトロやマックロクロスケが潜んでいても
    まったくおかしく思えないのである。
 
    本書は宮崎さんの心いくまで丁寧なスケッチと写真家和田   
    久士氏の写真とそして各家の秘蔵のセピア色の写真が惜し
    げもなくここには載せられて、昔のよき「武蔵野」を味わ
    うことができる。     
 
    それにしても思うのは、「武蔵野」には“緑”がしっくり
    くる。さらにいえば、「若葉色」ともいうべき明るい緑だ。
    その若葉の繁る梢の先に洋館が建っているのも何故か調和
    が取れているように思うのだ。
 
    のるまんじいの生家の近くに洋館はなかった。それに心と
    きめいたのは中2か3のころ、この表現が相応しいかどう
    か不明だが、とても懇意してくださっていた中学校の司書
    教諭だった方のお宅をお訪ねして洋館造りの部屋に上げさ
    せていただいたのが最初だった。
 
    先生にはのるまんじいよりも5歳ぐらい年下の男の子がお
    られ、その優しい親子の感じと洋館は今にまでも鮮明に残
    っている。
 
    それだけではないのかも知れないと思うのは、小金井市に
    ある江戸東京たてもの園に移築された家々のおかげかもし
    れない。愚息たちを連れてよく行ったものだ。
 
    移築、一般公開された当時から、見せてもらえてうれしい
    反面「もったいないなあ」と、せっかくなら誰かが住んだ
    方が家は喜ぶだろうにと思ったほどだ。主を失った建物は
    どんなに寂しがっていることだろうかと。これがイギリス
    なんかだったらもっと気の利いたことをするだろうに。ま
    してや、旧正田家の邸宅を取り壊してしまうなどというこ
    とはしないだろうに。  
 
 
        閑話休題。
 
 
    p8・9のスケッチ、p11のハイカラな玄関の写真。p11なんか
    イギリスと言っても通じそう。
 
    p16で母親に抱かれた赤ちゃんの写真を見ると、のるまん
    じいと殆ど同い年だろうと想像され、自分が母に抱っこさ
    れた1枚と重なり合った。
 
    p18・19のスケッチはいいなあ。こんな通りを行き来して暮
    らしたい。p74・75では写真に収められている。
 
    p24・25では木枠のガラス窓がいい。明かりが十分に差し込
    んで、優しく部屋を包み込んだはずだ。
 
 
    p32・33の少年ものるまんじい世代。みんなランニングシャ
    ツだった。タンクトップにいつの間にか変わったが…。
 
    p37の2枚の写真を見た瞬間、のるまんじいの存じ上げて
    いる茶人のお宅の風情である。そちらでは、何回かお稽古
    をつけていただいたことがあった。まさかそんなと思い、
    住所を確認すると少しばかり違った。
 
    飽きない。ちっとも飽きない。
 
    このままだと最後まで書いていきたくなる。
 
 
    出版当時、宮崎さんはこんなことを言っておられた。
 
 
 
              (前略)
 
 
    いい家というのは、だから造りじゃなくて、住む人の心が
    しみこんで、それでよくなるんですね。お訪ねしたお宅は
    みんなそうです。適当に古びてペンキがはげたりして、庭
    木と調和してきているし。
 
 
 
              (中略)
 
 
    ぼくは「この世には不思議なものがあるんだ」というもの
    を根底に持たなくなったとき、人間はずいぶん薄っぺらに
    なりはしないかと心配するんです。それが今の、隅々まで
    照明の行き届いた、闇のない家で暮らす子供の心に育つの
    かどうか……。
 
 
 
              (中略)
 
 
    『となりのトトロ』に出てきた、後ろに小高い丘を背負い
    、前には小川が流れているような家。ぼくの兄弟たちがあ
    のアニメを見て、「なんだ、俺たちが子供のころ住んでい
    た家を使ったな」といいました。永福町にあった家なんで
    すが、応接間だけが洋間で、あとは和室というつくりの家
    です。  
 
    確かに風景は奥武蔵野だが、洋館は違ったかもしれない。  
 
 
    この本も手許に置いておきたい1冊だ。トトロが住める家
    草木とともに年輪を重ねる家に住んでみたいと思われる方
    には特にお薦めしたい。  
 
 
 
   ==============================================================   
 
 
 
 
 
        スタジオジブリは
 
 
 
         
http://www.ghibli.jp/
 
 
 
 
 
        Aさんの庭を担当した安西デザインは
 
 
 
 
             
http://anzai-design.com/achievements/2010_01.html
 
 
 
 
         江戸東京たてもの園は
 
 
 
 
          
http://tatemonoen.jp/
      
 
 
 
 
   ==============================================================

 
 
 
 
 
        トトロの住む家 
 
 
 
 
 
                  増補改訂版    
 
 
 
 
                 宮崎 駿/著
                 和田 久士/写真
   
 
         
      
             2011年1月 初版 岩波書店刊
             
 
 
            岩波書店のホームページは
 
 
           
http://www.iwanami.co.jp/
      
   
 
   
   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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「くさる家に住む。 〜人と人、人と自然が共生する10の暮らし方〜」

  • 2013.09.07 Saturday
  • 01:05
JUGEMテーマ:オススメの本

 

 

 

  【こんな一冊の本】

 

 

 

 

         くさる家に住む。

        

 

 

        〜人と人、人と自然が共生する

 


                
10の生き方〜

 

 

        

 


                つなが〜るズ/著 
   

 

 

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  何とも物騒なというか、衝撃的な題名の1冊だ(笑)。

 

  ある日のことだった。

 

  時々行く、仕事場からさほど遠くない小さな図書館の新刊本
  コ
ーナーにそれはさも何気なく立てかけてあった。

 

  「私のことをわかる人だけが気にかけて手を伸ばしてくれれ
  ば、
それでいいの」

 

  いかにもそんな風に言いた気に()ひと際異彩を放っている
  よ
うに見えたのは妄想癖ののるまんじいのことだから、か
  
()

 

   「くさる家だと〜」「誰がそんな家に住みたいと思うんじゃ
  〜」

 

  そう突っ込みを入れてやろうかと思った。

  
でも、まあ、そう言ったって、題名の下に小さな文字で副題
  が
あるのだから、正体見たり枯れ尾花、のようでもあり…。
  副題
がここにない方が読者にとってインパクトが強かろうに
  と思う
が。

 

  編集者の方はそうは思わないのかも知れないけど、どうせだ
  っ
たならまんまいっちゃえば潔いのにって…。

  
それに「くさった家に住む」でも、ないしな。

 

  ところで。

 

  のるまんじいは、建築物が好きだ。

 

  大きなものは城郭や神社仏閣のそれらから市井に生きる私た
  ち
の息遣いが聞こえるもの、また山荘や小屋と呼ばれるもの
  まで
そのレパートリー()は限りなく広い。そしてそれらの新
  旧も
さほど気にしない。

 

  そこにあって、自然なもの、違和感がないものが好きだ。も
  ち
ろんこれだけわがままを言ってきたオヤジであるから、「
  キラ
イ」「イヤ」も「好き」と同じくらいあるかもしれない。
  ここ
はわがままを通させていただくことにしたい。

 

  このブログでご紹介させていただきたい“そんな本”も1冊
  や2冊で
はない。いつかきっと…。

 

  それはさておき。

  
ここでまず本書の著者「つながーるズ」をご紹介しておかな
  く
てはなるまい。建築に関わる仕事をしている女子4人衆だ
  そう
で、それぞれ住宅の設計や改修、執筆という仕事を通し
  て、よ
り良い住まいや暮らしへの提案をしてきたが、東日本
  大震災以
降「これでいいのだろうか」と湧き上がる疑問に閉
  塞感すら感
じたと記している。

 

   

  そんな時に出会ったのが、本書のタイトルにもなった「くさ
  る
家」だった!

 

  で、「くさる」とは…。こんな風に定義()づけておられる。

 

 

  「くさる」は熟成。手をかけて暮らすことで味わいが深まる
  家。

 

  
  「くさる」は朽ちる。土と水と空気を汚さず建てられて、最
  後
はひっそりと土に還る家。

 

  「くさる」は鏈(くさ)る。人と人とが鎖のようにつながって、

  人が人らしく生きられる家。

 

  

  それでは、ともかくその「くさる家」をお訪ねすることにし
  よ
う。

 

  後世につけをまわさない「くさる家」 琵琶湖畔のいえ

 

  まずはこの家の外観の写真をご覧になって、読者のみなさん
  は
どんな風に思われるだろうか。

 

  この建物、ストローベイルハウスといって、圧縮した藁のブ
  ロ
ックを壁周りに積み上げた建築である。そうな。元来は19
   80
代後半のアメリカで始まったもので、身の回りにある藁
  や干草
を使うことから始まり、90年代に環境配慮への意識の
  高まりか
ら見直されるようになったそうだ。

 

  藁には、断熱、蓄熱、調湿などの性能があり、建築の断熱材
  と
しては優れた素材なのだとか。

 

  オーナーの中野さんは家を建てると決めたときに「『くさる
  家
』に住みたいと考えた」と語る。自分がつくったものを自
  分の
中で完結させ終わらせたい。負のものを未来に残したく
  ない、
つけを誰かにまわさない。そんな思いでらしたようだ。

 

  ただ、この工法が湿潤なそれも湿度が高い琵琶湖畔で建てる
  こ
とはとてもリスクが高い、とも考えたそうだ。

 

  しかし、この工法の魅力には壁の厚さがある。藁のブロック
  だ
けでも40cmの厚み。この厚みをインテリアの1つとして
  取り
込んで、ゆとりある空間として使っておられる。

 

  魅力のもう1つとして挙げられるのが、「直角のない曲線が
  続
く漆喰壁」だそうだ。これのおかげで、印象が柔らかく安
  心感
を覚えるのだとか。ここで「曲直」の好みは分かれるだ
  ろうが、
のるまんじいも「曲線」が好きだなあ。

 

  建物の外回り、玄関、浴室、ダイニングの写真を拝見すると
  誠
に“人に優しい”建築に見える。

 

  ここでは「音」についてもふれている。

 

  もともと静かな環境なのだそうだが、室内にいて、車の音も、

  強く吹いている風の音もしないのだとか。藁ブロックに防音
  効
果がある。と、つながーるズの濱田さんは書く。

 

  詳しくは本書をお手に取ってお読みいただきたいが、ストロ
  ー
ベイルハウスの建築工事は、家族と多くの人の力を借りて
  行わ
れることが多いそうだ。手がかかる家だからこそ、そこ
  に何か
が生まれ、それが住み手の生活に加味され、楽しさと
  喜びにつ
ながっていくとも。

 

  こんなお宅をお訪ねしてみたいなと素直に思った。そう思っ
  た
のはこちらだけでは勿論なかった。

 

  では、ほんのちょっとずつ…。


 

 

     <環境共生の家>

 

 

   緑多き住まいに人のつながりが深まる

 

          深沢環境共生住宅

 

 

   都市の中に自生する1本の木のような家

 

          白山通りのいえ

 

 

   空に向かってそびえる緑の館

 

          グリーンフェロー

 

 

     <自力・自足の家づくり>

 

 

   完成まで20年、夫婦2人でつくり続ける家

 

          落日荘

 

 

   セルフビルドの農ある暮らし

 

          八ヶ岳山麓のいえ

 

 

     <土に還る家>

 

 

   後世につけをまわさない「くさる家」 

 

          琵琶湖畔のいえ

 

   

   超高層ビルの先駆者が建てた「終の住処(すみか)

 

          邦久庵

 

   

    

     <新しいコミュニティの可能性> 

 

 

   緩やかに町とつながる木造長屋

 

          大森ロッヂ

 

 

   住む人一人ひとりがつくる小さな社会

 

          コレクティブハウス聖蹟 

 

 

   雑木林のような「時間に追われない国」

 

          ゴジカラ村

 

 

  どれをとっても興味深く、読んで楽しく、見て愉しいそんな
  
1冊だ、と思う。よく口にされる「個性化」の時代、家にも

  こだわりを持てるということは、考えてみれば結構な贅沢だ

  と思う。考え方は人それぞれで、新聞の折込やネットのCM

  を飾る豪華高層マンションや大手建設会社の住宅展示場にあ

  るような一戸建てが何と言ってもいいとおっしゃる方も多い

  だろう。また、雨露さえ凌げればそれで十分、そんなお考え

  もあるだろう。

 

  それらを含めての「個性化」の時代に、現在はあると思う。

  家を持つ、特に土地付きであれば、税金だって馬鹿にならな

  いじゃないか。維持費だってなかなかである。

 

  それでも、人は「家を持ちたい」そう思うようだ。

 

  じゃあ、のるまんじいはどうよ?とのお訊ねがあったら「ま
  
あ、人並みには…」とでもお答えさせていただこうか。

 

  人は3回家を建てて一人前とどこかで聞いたことがあるが…。

 

  最後に。つなが〜るズさんについては下のブログをお訪ねい
  た
だきたい。 

 

  一般向け。のるまんじいと同じように建物好きという方、環
  
境にやさしい生き方を進めておられる方には特にお薦めの1

  冊だと思う。最終的には、どなたでもとなるが。

 

 

   ==============================================

 

  

 

     Studio PRANA

 

 

      林美樹とつくる自然な建築とくらし

 

 

 

    http://pranablog.seesaa.net/article/332027947.html

 

 

 ================================================

 

 

 

 

         くさる家に住む。

   
   
 

 

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「金堂再建 白鳳の薬師寺金堂いまここに」

  • 2013.03.30 Saturday
  • 12:26
JUGEMテーマ:オススメの本

 

 

 

  【こんな一冊の本】

 

 

 

        金堂再建

 


       
      白鳳の薬師寺金堂いまここに
     

 

 

 

 

                  深井 昌司/著・写真        

                    

 

 ===============================================

                           

 

 

 このめるまがにときどき登場してくれる、この春から高1の「
 悪魔クン」から、「奈良に関するいい本はない?」と訊ねら
れた
 のは彼が中1の夏のことだった。

 

 高1にもなって、いつまでも小悪魔クンではないだろうと思う
 だが、本人もぴたっとしたニックネームが見つからないから、

 取りあえずこのままでイイや」と言っている。悪しからず。

 

 それはさておき。『水底の棺』(中川なをみ作/くもん出版)と、 
 『氷石』(久保田香里作/くもん出版)と、ここでまだ紹介でき

 ていない『京都美術鑑賞入門』(布施英利著/筑摩書房)を「
 書館で借りてみてね」って、薦めたのだった。

 

 その後で、「ああ、そうだ。こんな本があるじゃん」と気づい
 のが本書だった。

 

 それは大きく重い、そればかりかモノクロの1冊の写真集だった。

 今も膝の上に置いているが、いやはや重い()

 

 表紙はといえば、再建なった奈良市西ノ京にある薬師寺さんの金

 堂の壮麗で、しかも“角”の金具と“円”い瓦の配列が美しい軒

 の写真であり、読者をまずここで圧倒する。

 

 薬師寺は元々、天武天皇が、妻で後の持統天皇の病気快癒を願っ

 て藤原京に創建したものである。後の平城遷都により、現在の地

 に移された。意外に知られていないことである。

 

 薬師如来、日光菩薩、月光(がっこう)菩薩の三尊を納めた金堂は
 
東塔、西塔とともに“薬師寺伽藍”として、白鳳時代を代表する

 建築である。

 

 しかし、この地にあって、長い歴史の中で、「地震」「台風」「

 戦乱」に遭ってきた。特に1528(天正10)年筒井順興の乱で主な堂
 塔が灰
燼に帰している。ちなみにこの年本能寺の変で織田信長が
 斃れている。

 

 1600(慶長5)年に、当時の郡山城主、増田長盛の手で仮金堂が修

 築された。しかし、1971(昭和46)年までこの「仮」のままの金堂

 であった。当時は、柱はくさり、雨漏りのシミもひどく、荒廃き

 わまれりという状態であったという。

 

 大正年間に薬師寺長老の橋本凝胤師が金堂の再建を計画するも、

 かの戦争で中断。思いは弟子の高田好胤管長に引き継がれ、“百

 万巻写経”による金堂復興が始まる。 

 

 1971(昭和46)年4月3日に起工式が行われる。この時、古式にの

 っとった“手斧(ちょうな)始め”の式があった。西岡常一棟梁が装
 束
に身を正して“手斧”を差しだすと、池田建設会長が用材に手
 斧
をふるい、それと同時に会場をゆるがすような手じめが行われ、

 式はクライマックスに達したという。

 

 その後落慶式までの、上棟式を含めた細かいことは、ここでは省

 かせていただこう。本書の中で、著者の深井さんが詳しく書いて

 おられるので、お読みいただきたい。

 

 そして迎えた1976(昭和51)年4月1日。

 

 以下のように落慶法要が始まる。

 

 安田会奉行の「堂童子・堂童子・落慶の鐘」という合図によって、

 鐘楼の前で待機する白丁が「奉(ホウ)」と叫ぶと、落慶の鐘が鳴
 
り響いた。やがて伊勢神宮、春日神社、宇佐八幡宮の三社からご

 神火が到着して、金堂前の大燈籠に点火され、「御鍵納めの儀」
 
となった。その後の様子もまるで式に列席したようなそんな感慨
 
を持つような気分で読むことができる。

 

 ところで。

 

 では、本書の著者・深井昌司氏とはどなただろうか?

 

 それが「撮影者のことば」で、詳細に語られているので、ちょっ

 とだけ記しておきたい。

 

 筆者が父に連れられて初めて薬師寺を訪れたのは、123歳の頃
 の
ことだったそうだ。その時に出会った薬師寺の夕景の美しさに
 心
を奪われることになる。

 

 やがて、写真家の道を歩み、父の職業を引き継ぎ、後に池田建設
 
社長となる。そうなのだ、起工式にあった池田建設会長とは筆者

 のご尊父なのだ。その会長が金堂再建を受けることになったのだ
 った。

 

 これほど名誉な工事を施工させていただいたことは、建設業者と

 して最大のしあわせであり、他方写真家として記録が出来て、し

 かも私にとってはじめての写真集に出来たこと、こんな喜びの重

 なりが他にあるだろうか。

 

 そして、また。

 

 私はモノクロームの写真が好きである。(中略)モノクロームの写

 真だけを見ていると、人はそれぞれの頭に色彩を想像し、夢は無

 限にひろがってゆくのだ。

 

 と、書いている。

 

 だから、全編モノクロームなのだ。

 

 本書をのるまんじいがたまたま持っていたので、「ハイ!」と相
 成った訳だが、中学生にとっては、“地味”以外の何もので
もな
 かっただろう。小悪魔クン、心のうちでは、「ゲッ!」だっ
たか
 も知れない(笑)。

 

 「オレ、こんなのシュミじゃないよ」ってぼやいていたかも知れ

 ない。(笑)いやいや、意外にはまったかも……、だ。

 

 さて、本書のメインともいうべき、作品の数々だが、これはもう

 お手に取っていただいて、ページを繰っていただくがよいだろう。

 

  薬師寺の「管長さん」というと、のるまんじいたちにとって高田
 
好胤管長のお顔がまず浮かんでくる。若き管長さんの写真が多く
 載せ
られていて、それは懐かしい。

 

 管長さんは「深井昌司君のこと」の中で、こんなことを寄せてい

 る。

 

 嬉しいことといえば、彼はこの写真集に、修学旅行生に説明して

 いるスナップ写真を入れることを忘れていない。そのことがとっ

 ても嬉しい。何故ならば、この修学旅行生との心と心の触れ合い

 がなければ、おそらくこうした形、即ち、百万巻の般若心経のお

 写経による金堂復興はあり得なかったであろう。(百万巻〜復興

 まで傍点あり)

 

 この理解あればこそ、この写真をここに入れているのであろうが、

 これも長い間のつき合いから、彼が肌で感じてくれた理解のあら

 われであると、私は喜んでいる。

 

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「日本人はどう住まうべきか?」

  • 2012.06.16 Saturday
  • 00:01
JUGEMテーマ:オススメの本
 

 

 

 

 【こんな一冊の本】 

 

 

 

       日本人はどう住まうべきか?

 

 

 

 

 

                 養老 孟司/著

                       隈 研吾/著

 

 

 

    
 ================================================

 

   

   

   

 いつも行くそれは小さな図書館でのこと。

 

 わずかのスペースにだけれど、来館者に見えるように注目の新
 の表紙を飾ってある。

 

 その日も何とはなしにチラッと見やったら、本書が立てかけて
 った。

 

 中央に題字とおふたりの名前、そして右側にTシャツ姿の隈さ
 の写真が縦にポーズを変えて2枚、同じように左にポロシャ
ツに
 ジャケットを羽織った養老さんが。そして、吹き出しがこ
んな風
 に書いてあった。

 

 隈:3月11日の震災のとき、養老先生はどちらにいらっしゃ
   ましたか?

 

 養老:鎌倉の自宅にちょうど帰ってきたところでした。

 

 隈:一律の基準をやめて「だましだましやる」

 

 養老:その「だましだまし」という姿勢はだいじなことですよ

 

 本書の題名からおふたりが何を言いたいのか、気になる。さら
 裏表紙には、

 

 養老:建築界では、津波についてどう対策を考えていたんです

 

 隈:驚くべきことに津波に関してはノーマークだったんです

 

 養老:原発事故は絶対に起こらないというのと同じメンタリテ
    ですね

 

 とあった。

 

 これはおもしろそうだと。だったら読まなくてはと、いそいそ
 借り出してきたのだった。

 

 隈さんは、1997(平成9)年「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」で
 日本建
築学会賞、2010(平成22)年「根津美術館」で毎日芸術賞を
 受賞されてい
る。新装なった根津美術館は、そうか隈さんの設計
 だったのか。
表参道の駅からえっちらおっちら歩いて入口にたど
 り着いた時
は思いもよらぬ現代的な建物が出現して驚いた。素敵
 な美術館
になったと思いながら、尾形光琳の「燕子花図」と久し
 ぶりに
再会したのだった。

 

 一方、養老さんは東京大学部の解剖学の教授の任にあって、退
 後
2003(平成15)年ベストセラーになった『バカの壁』で毎日出版
 文化
賞を受賞なさっている。

 

 その紹介のところにも吹き出しがあって。

 

 隈:現在、僕たちが知っている都市というのは、アメリカが20
 紀の最初に自動車と一体となって作ったものです

 

 養老:僕から見ればラオスとかブータンとかは世界最先進国だ
      (
)石油を一切使っていない

 

     と、より本書へと誘ってくれる。

 

 今回も章立てをごらんいただきたい。

 

   第1章  「だましだまし」の知恵(省略あり)

 

      

      死語になった「国家百年の計」

 

      ルーズだからこそ安全基準は高くなる

 

      買い手に土地を検討されたら困る

 

      原発問題も土建問題も戦争のツケ

 

 

   第2章  原理主義にいかない勇気(省略あり)

  

 

      コンクリートは「詐欺」に似ている

 

      ファッションで買われていく高層マンション

 

      アジアの都市は自然発生的

 

      アメリカのまっ白い郊外と真っ黒な石油

 

 

   第3章  「ともだおれ」の思想(省略あり)

 

      

      都市復興の具体は女性に委ねるべし 

 

 

   第4章  適応力と笑いのワザ(省略あり)

 

      販売者はマンションに住みたがらない

 

 

   第5章  経済観念という合理性(省略あり)

 

 

   第6章  参勤交代のスヽメ

 

      限界集落的な生き方も認めよう

 

      スラムの方が断然面白い(省略あり)         

 

 

 どこもかしこも興味深かった。

 

 

 『日本人はどう住まうべきか?』

 

 随分と意味深長な題名ではないか。わたしたちは、そしてわた
 たちの父祖は太古から現在にいたるまで「住んできた」では
ない
 か。それを何を今さらどうして「どう住まうべきか」と問
うのだ
 ろうか。

 

 「住む」ということは、「衣・食」と並んで、生活をしていく
 での“基礎”であるということを知っている。が、身近過ぎ
て、
 わかっているようでそうではないのかもしれない。基礎だ
からこ
 そ見逃し勝ちな点が多くあるのだろう、きっと。

 

 時折々で先人たちは器用に住まいの形態を回りに適応するよう
 今まで何度も変えていったのだろう。

 

 そして、今。わたしたちは新たな展望のもと、現代に本当にあ
 「住まい」方を見つけなくてはいけない時期にきているのか
も知
 れない。それは、従前の「住まい」に対する意識を大胆に
変革す
 る必要があるのかも知れない。そんなことをこのお2人
は本書で
 語っているように思う。

 

 第3章に「ベネチアの運河に手すりをつける?」というところ
 あった。みなさん、思わず「エッ!」と思われたのではない
だろ
 うか?

 

 実はこれ、隈さんが「長崎県美術館」を設計したときに起こっ
 問題から連想した話。敷地に運河があった。その運河に子ど
もが
 落ちないように高さ1メートル
10センチの手すりを付けろ
と“お
 上”の規則があったのだそうな。

 

 美術館サイドは、美術館と運河を一体化した雰囲気にしたいから、
 手すりを付けたくなかったのにだ。そこで「ベネチアの運
河に手
 すりがあるか」と。結局どうなったか、は本書をお読み
いただき
 たい。それにしてもなあ、である。

 

 同じ章にある「骨ぐらいは折ってみた方がよろしい」、なんだ
 物騒な題だが。近ごろは、どんどんバリアフリーだとかユニ
バー
 サル何とかになって、2ミリの段差も許さない社会になっ
ている
 のだとか。

 

 2ミリって?思わず物差しの目盛りを確認してしまった。

 

 そこで出た話。

 

 荒川修作さん(現代美術家・故人)が設計した「養老天命反転地」
 (岐阜県養老町)の来園者で骨折する人が続出したとき、
「人間、
 骨ぐらい折ってみた方がいい」と荒川さんが返したと
いうエピソ
 ードがあると紹介されている。

   

 「何とも不謹慎な発言だ!」と瞬間的に気色ばむのはよろしく
 いですぞ。

 

 設計者の真意がどこにあるのか、また文脈上、どうしてこのエ
 ソードを採ったのかを本書でお読みいただいて、それで判断
して
 いただきたい。

   

 ともかく興味深い話が満載だ。でも、それはここまで。

 

 のるまんじいは、ちょっと違った点からもう少し本書を紹介し
 い。

 

 隈さんはあとがきに書く。

 

 おふたりは、カトリック系のイエズス会という修道会が経営す
 栄光学園中学・高校の先輩後輩だそうだ。思想の形成におい
て、
 イエズス会が果たした役割はきわめて大きかった、と振り
返って
 いる。

 

 なお、イエズス会といえば歴史の時間、安土桃山時代にスペイ
 の宣教師フランシスコ・ザビエルによってキリスト教が伝来
した
 と習った。実はザビエルはバスク人で、イエズス会の修道
士だっ
 た。

 

 イエズス会の理念は、一言でいえば現場主義に尽きるという。
 場主義者はまず肉体を重視すると。強靭な肉体を持っていな
けれ
 ば、現場という過酷な場所を生き抜けないと。

 

 だから、栄光学園は徹底した肉体主義だったと。毎日、2限と
 限の授業の間に、上半身裸で、真冬でも校庭を走らされたと
いう。
 もちろん、この伝統は今でも続いており、なおイエズス
会系の中
 高は同じことをしているはずだ。

 

 肉体をおろそかにしていると、脳ばかりが肥大して、ろくなこ
 を考えなくなるというのが養老哲学の中心思想だと。

 

 その6年間をポジティブな現場主義の人たちに囲まれて、過ご
 たという。

 

 そんな隈さんは、こうも書く。

  

 現場主義の大前提は夢が存在することである。大きな夢がある
 らこそ、現場という複雑でやっかいなものに立ち向かい、そ

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