「檀流きものみち」

  • 2014.06.23 Monday
  • 00:00
JUGEMテーマ:オススメの本


 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
    檀流きものみち

                        

 
 
 
                    檀 ふみ/著      
 
 
 
   ===========================================================
 
 
 
   女優の壇ふみさんだけど、このごろテレビでお見受けする機
      会
がなくなってどうしたんだろうと心配していました。
 
   でも6月14日公開の映画『春を背負って』に松山ケンイチさ
   ん
演じる長嶺亨の母親・菫役でご出演になっておいでだと知
   りま
した。考えてみれば、活躍の場はほかにたくさんありま
   すもん
ね。
 
   すっかり杞憂でした。
 
   きもののよくお似合いになる女優さんが段々減ってきている
   中
で、きものがよく似合うおひとりで、凛としておいでで、
   その
姿からは独特の雰囲気を醸し出されています。
 
   その檀さんは“はじめに”の中で、「きものよ、あんたが愛
   し
い!」と叫んでいます。
  
   初めて出演した映画で着たのが、“きもの”で、そこが「き
   も
のみち」の出発点だったのかもしれないと書いてあります。
 
   その「きものみち」は、今でも相変わらず、狭い、デコボコ
   だ
と書き、キラキラ光る頂は、未だ雲の彼方だといいます。
 
      それだけではありません。高校時代には、「エモンカケ・ダ
   ン
」と呼ばれるぐらいの立派な肩で、映画監督に「正面向く
   な!
斜に構えろ」と言われ続け、それを悩み続けながらのま
   るで
茨の「きものみち」だったようです。信じられません。
 
   その「きものみち」を前半では、四季を追って求め、後半で
   は
各地の産地を巡っていきます。
 
   ふんだんな写真と檀さんの筆による文章で構成されています。
 
   写真といえば、モデルの立場から、こんなことを語ります。
   杵島隆といえば、名だたるカメラマンのおひとりですが、カ
   メ
ラの前の檀さんにこんな注文を出します。
 
   「そんなマジメくさった顔をしないでサ、『お見限りね』っ
   て
顔してくれよ」とか待ち人が現れず今か今かと望む雰囲気
   を出
してほしいとか、あるときは「もっとしどけなくしてほ
   しい」
とかと言うのです。
 
   ともかく、ここは「世界文化社」の得意とする分野ですから
   安
心して楽しめます。
 
   さて。
 
   単衣の時期の話は注目したいところです。何しろ単衣も6月
   の
ものと9月のものでは違うのだそうですから。
 
   袷から単衣へ、そして絽や紗・上布を始めとする薄物へと変
   化
し、また袷に向かって装いを約束に従いつつ変えていく楽
   しみ。
“約束”もくずしはしても、ある範囲内でないと粋で
   はなくな
りますよね。
 
   男でもこの時期は楽しみです。絽や紗紬、縮などを夏帯と取
   り
合わせて涼しげに装いたいものです。芭蕉布は高価ですし、
   麻
はまだ難しそうで…。
 
   閑話休題。
 
   トンボは夏向きのもので、秋口にトンボの柄を着ると何だか
   憐
れっぽく見えるのだそうです。(私はわたしっていう覚悟
   があれば、
別でしょうけれど)9月は、やっぱり秋草だとい
   うのです。

 
   季節を先取りするということでしょうか。
 
   9月半ばは薄物でもいいけど、10月の声を聞いたら、どん
   な
に暑くったって袷(あわせ)だといいます。その短い時期
   にこ
そピタリと決めるのが、ホンモノの「おしゃれ」だとも。
 
   単衣はお召しになるその時期が短いからこそ「ぜいたく」な
   も
のに感じますね。本書には出てきませんけれども、男物の
   きものだって
同じだと思うんですね。
 
   第3章では「染めと織りの故郷へ」が書かれています。
 
 
      爪織り綴れ           京都 
 
      紫根染め        盛岡
 
      芭蕉布             沖縄
 
      読谷(よみたん)花織  沖縄ほか
 
 
   第4章では「作家を訪ねて」となり、より個性的なきものが
   登
場します。
 
   檀さんの『檀ふみの茶の湯はじめ』(ハースト婦人画報社/刊
   )
を併せてお読みいただくと楽しみが倍加すること間違いなし
   で
す。
  
   一般向け。どなたでも。いえいえ、着物好きなあなたに殊に
   お
薦めです(笑)。“目の保養”にもお誂え向きの1冊です。
 
 
 
   =========================================================
 
 
 
 
 
        映画『春を背負って』公式サイト
 
 
 
           
http://www.haruseotte.jp/
 
 
 
     
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    檀流きものみち                        
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                    檀 ふみ/著
 
 
 
 
             2001年9月 初版 世界文化社刊
             
 
 
 
            世界文化社刊のホームページは

       
 
           
http://www.sekaibunka.com/
 
 
 
  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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「樋口可南子のものものがたり」

  • 2012.07.25 Wednesday
  • 00:02
JUGEMテーマ:オススメの本

 

 

   【こんな一冊の本】

 

 

 

 

 

        樋口可南子のものものがたり

        

 

        

 

                清野 恵里子/著

 

 

 

  
    ===============================================

 

   

 

 女優の樋口可南子さんを身近に感じたのは、ソフトバンクのあ
 「白戸家」のCMで頻繁に見かけるようになってからかもし
れな 
 い。

 

 カイト君扮するおとうさんを相手に“いい味出してるなあ”と
 ったからだろうか。

 

 『明日の記憶』という映画で、若年性アルツハイマーが急激に
 行していくご主人(渡辺謙さんが扮した)に寄り添うパート
ナー
 の役がよかった、そんな思いでもあるのだが。

 

 いつだったか、その樋口さんがご主人の糸井重里さんと、東京
 住みながら京都に「糸井家のセカンドハウス」を建てたと、
どこ
 からかもれ聞こえてきて、ただ単純に「それはいいなあ」
と思っ
 たものである。

 

 「京都か、いいなあ」

 

 余裕があるなら、誰しもそんな真似をしてみたいと思うだろう
 が、現状ではなかなかそうはいかず大いに“いいなあ”をの
るま
 んじいは連発するものである。そしてまたそんなことが書
いてあ
 る本と出会うと読んでしまう。

 

 ただ、根が淡泊なのか、それ以上の感情はどうもわいてこない
 だが。それで、世にいうところの“勝ち組”の恩恵に与れな
いの
 かもしれない。トホホである。

 

 それはそれとして。

 

 この『樋口可南子のものものがたり』だが、久しぶりに美しい
 を読んだ、あるいは出会ったという、そんな気がする。今は
休刊
 してしまった、
40代の女性向けの雑誌「メイプル」に連載
された
 ものをまとめられたものだそうである。

 

 出版業界はなかなか厳しいようで、考えてみれば同じような傾
 の本が数多く出版されていて、こんなことを言っては失礼か
もし
 れないが、なんとなく内容も雰囲気も似たり寄ったりで、
生き残
 るのもさぞや大変なことだろうとは思う。思いはするが
、のるま
 んじいのようなおっさんは、書店で手に取ってパラパ
ラとページ
 をめくって、たいてい買わずに終わりとなる。

 

 遅くなったが、著者は清野恵里子という文筆家さんで、メイプ
 の記事を担当なさったのであろう。(まことに心もとなく申
し訳
 ないが)その清野さんと雑誌のスタッフさんたちが樋口さ
んに付
 いて取材して、でき上がったのがこの本となる。

 

 家を新築するに当たって、それはたくさんの建築物を見て回っ
 そうである。ゼロからのスタートというものづくりはそれが
家に
 限らず、大きければ大きいほど、ワクワク、ドキドキ、時
にはハ
 ラハラもし、そして手に入れる喜びもまた大きいものだ
と思う。
 それも京都の郊外に建てちゃうというのだから。それ
が何処かな
 んていうのは、野暮である。

 

 「まずは」と、設計者のM氏から“蓮華寺”を見てほしいと注
 されたそうだ。

 

 蓮華寺は洛北の名刹の1つであるが、市中の寺と比べると小さ
 お寺さんだそうである。建物には少しの衒(てら)いや、「ど

 だ!」といった尊大な構えもなく、あたかも周囲の自然の一
部で
 あるかのような姿であるそうだと。

 

 しかし、そこにある柱の1本1本には絶妙な配置があり、この
 はここでないとよろしくなといされている。

 

 また、蓮華寺よりもさらに「鯖街道」を若狭の方へ走った「朽
 (くつき)」へ「木」を訪ねて会いに行く。朽木には天然酵母

 パンを焼いている方がいるので、のるまんじいはいつか訪ね
てみ
 たいと思っているからか、より親しみを感じた。  

   

 そこで樋口さんは家の大黒柱となる欅(けやき)の古木と出会
 ことができた。それは、滋賀県の大きな庄屋さんの古い家に
残さ
 れたものだそうだ。というか、欅の木が、樋口さんがやっ
てくる
 日を待っていた、そんなふうに思えてくる。何しろ、欅
の古木に
 とって、第3の“生”がこれから始まろうとしている
のだから。

 

 そうかと思えば、日常の品に目がゆく。

 

 中京区三条大橋西詰にある『内藤』さん。こちらは箒を専門に
 うお店。今どきこういうお店はどれほどあるだろうか。やっ
ぱり
 「京都」だなと思う。たわしや化粧刷毛、そして和歌山の
山奥で
 とれた上質の棕櫚(しゅろ)の繊維で作られた棕櫚箒な
どがさり
 げなく飾られている。「棕櫚」なんて中学生でも見た
ことないだ
 ろう。あの棕櫚の手触りはさわってみなければわか
らないものな
 あ。

 

 湯豆腐の器で知られた『たる源」さんをひやかして、向かった
 は、河原町六条にある茶筒を扱うお店の『開化堂』さん。

   

 蓋をかぶせると、スーッと自然に下りていく感じは、気密性に
 れているという証だそうだ。ブリキだったり、銅だったり、
真鍮
 だったりと材質は違っても使いやすさに変わりはないとい
う。お
 茶の風味をいつまでも閉じ込め、さらに湿気から守って
くれるそ
 んな有り難い小道具の1つだ。いくつか身の回りにあ
るとそれだ
 けでも贅沢な気分が味わえそうだ。

 

 次に登場するのは、京の町家の夏のしつらえである。

 

 待ってました、と思わず声をかけたくなる。

 

 本格的な夏の到来にはまだ間がある6月ともなれば、衣替えが
 ってくる。

   

 間違いなく東京を始め首都圏以西は暑い!ここ何年もうんざり
 るぐらいに暑い。

 

 しかし、東京が暑いと言ったところで京都・奈良といった古都
 それに敵うものではない、と思う(笑)
。何しろ湿度が違う。
考え
 ただけでも汗ばんできそうなそんな思いがする。大いに蒸
し暑い
 のである。

 

 それこそどんなに涼やかな着物姿でいたとしても、それは見た
 だけであって、首から下の見えない部分は汗でぐっしょりに
なっ
 ていると思っていただきたい。クーラーがあれば、別の世
界かも
 知れないが。

 
そんな土地柄だからこその対処法を都びとたちは持ち得たのだ
 う。

 

 暑さの対処法の1つに“視覚”の効果がある。大体、旧家にお
 ては、6月朔日
(ついたち)を以って、障子や襖は外され、夏向け
 の簾
戸(すど)に一斉に変えられ、また簾(すだれ)を掛けられ
 る。


 まことに見た目、「ああ、夏がやって来たなあ」とか「涼しい

 あ」と感じるのだ。もちろん風が屋内を通ることもあって涼
しい。

 

 そして何といっても清涼感の極めつけは打ち水であろう。

   

 ここでは、『久保田美簾堂』に取材している。そちらの時代の
 る看板と琵琶湖産の葭
(よし)で編んだ簾が店先を飾っている
姿は
 まことに美しい。

 

 3月にご紹介させておただいた『北嶺のひと 比叡山・千日回
 行者 叡南俊照』の書中にあった写真が印象に強く残っている。

 “京都切り廻り”でここを通る行者さんをとらえた1
枚だ。

                                                    
 
『軒先の雨』と題した章の写真は素晴らしい。鹿ヶ谷の法然院
 の撮影らしいが、小さな門に和服姿で風呂敷を手にした1枚
であ
 る。両脇を柱が支えているのだが、この柱が鉈で削られて
いて美
 しい。脇に蛇の目傘が添えられている。情緒は十分なの
だが、そ
 の実、写真に写るところにだけ水を打ったようでそこ
だけはいた
 だけない。偉そうにいえば、“画竜点睛”を欠いて
いるように思
 えてしまうのだ。

 

 しかし、後に続く写真もいい。

 

 京都というところの“みどり”はよそと違うのかもしれない。

 

 そして紅葉(もみじ)した高台寺の風情もよろしい。

 

 そうそう、菓子にもふれておきたい。

 

 上賀茂神社の正式な名は「賀茂別雷(かもわけいかづち)神社」

 というが、こちらの門前に「やきもち」を商う『神馬堂』という
 お店がある。1度だけ出向いて買ったけれども、ちょっと
こぶり
 で扁平な焦げ目のついた餡入りのお餅だった。甘いなあ
という印
 象を持ったが、今だったらどうだろう。夏に熱々を戴く
のもよい
 だろう。

 

 そして、北野天神さんの近くの『澤屋』さんという粟餅(あわ
 ち)のお店。こちらはまだ訪ねたことがなく、ぜひ1度いた
だい
 てみたい菓子の1つである。写真を見ていたたら、思わず
なま唾
 ゴックンであった。

 

 こういう本はやはり手許に置いておいて、徒然に見るのがよい
 思うのである。“京都”大好きな人を始めとして多くの方に
楽し
 んでいただける1冊だと思う。ご一読をお薦めさせていた
だきた
 い。

 

 

 

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