まあやんの 徒然なる日々

お薦めの本の紹介と移ろいゆく日々の中から目にしたことを綴るブログです
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# 「京都・美山荘 花もごちそう」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
 
        京都・美山荘
 
 
 
 
       花もごちそう
    
 
 
        
                  中東 和子/著
                  井上 隆雄/写真     
 
 
 
 
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        世の中は三日見ぬまにさくらかな
 
 
   大島蓼太(りょうた)の作品。
 
   江戸後期、俳諧中興の5人に数えられる俳人だそうだ。
 
   世間では“に”ではなくて、“の”で伝えられている。
 
 
        世の中は三日見ぬまのさくらかな
 
 
 
   強い風と無情の雨にたたられて、今年のさくらもあっという
   間に葉桜にとなってしまった。
 
   桜前線北上中とは聞くが、今はどのあたりを北へと急いでい
   るだろうか。青森県弘前あたりか、それと津軽海峡を一気に
   越えてもう松前、函館あたりだろうか。
 
      それがとんでもない。
 
   今年は観測史上2番目の早さとかで、22日には札幌市で開花
   宣言があったばかりだ。それでも、まだストーブを使う寒さ
   だという。
 
   そこで。
 
   この桜前線、日本列島最後はどこまで行くのだろうかと考え
   た。
 
   すると、北海道知床半島、根室あたりが浮かび、そして稚内
   の名前が登場する。今年2015年の予想図を見ると、稚内市
      の開花予想が5月10日ごろで、満開のピークが15日ぐらい
      だそうである。
 
   北海道のさくらは本州のそれと違って多くはソメイヨシノで
   はない。まあ、そんなことはどうでもよくて。         
 
   今、手許にヤマザクラが満開の写真の1冊がある。
 
 
      京都・美山荘
 
 
 
            花もごちそう
 
 
   のるまんじいはヤマザクラが好き。華々しさはないけれど、
   清楚で芯が強そうなところに惹かれる。
 
   本書の表紙を繰り、“中表紙”は北山杉を背景にヤマザクラ
   の花が。1着の訪問着のデザインのよう。はかないさくらの
   淡紅白色の花と常緑樹のコントラストが美しい。
 
   なお、繰れば、目次の天地にも。
 
   そして。
 
   p30、31の「山桜咲く」に目は吸い寄せられる。
 
   筆者は語る。
 
   京都桜前線の最終地は、ここ花背の里。市内の観桜は終わり、
   鞍馬の花もそろそろ散り急ぐ4月末から5月にかけて、よう
   やく花の笑みがこぼれる。
   
   そうなのだ。桜前線は北へとばかり思いがちだが、標高差も
   関係している訳だ。都人たちはうまいこと“さくら狩り”を
   しかも贅沢に堪能しているのだ。何とも雅で羨ましいことか。
 
   ここでちょっと寄り道を。
 
   花背(はなせ)の里――
 
   何ともおくゆかしい呼び名ではないか。
 
   京都市内から北へ約35キロ離れたところにある花背峠を越え、
   山懐に抱かれた里。本山修験宗の名刹大悲山峰定寺があり、
   明治になってから、摘草料理で名高い「美山荘」もここの宿
   坊を始めたようである。
 
   作家の立原正秋や随筆家の白洲正子を始めとして多くの人に
   愛される料理旅館である。 
 
   この美山荘の3代目に嫁いだのが著者である。
 
   それにしても、この著者中東和子さんの生ける花は美しい。ど
   れもこれもを実際にお部屋の床の間で拝見したいと思わせる作
   品ばかりである。   
 
   ちょっとだけ、ここに取り上げさせていただこう。
 
   落ち着いたそして決して真っ白というのではない厚手の、おそ
   らく時代のあるだろう白磁鉢に一輪生けられたのは片栗の花。
 
   思わず万葉集にある
 
 
     もののふの 八十娘子(やそおとめ)らが
 
 
       くみまがふ    寺井の上の 
 
 
                  堅香子の花 
 
 
            巻19−4143 大伴家持
   
   の1首を思い出してしまった。
 
   野にあるようにと、よく言われるけれども、こんな風に生け
   てあるとうれしくなるなあ。
 
   季節は初夏――
 
   題して「深山の芳姿」
 
   白い類葉升麻(ルイヨウショウマ)と紅更紗満天星(ベニサラ
   サドウダン)を李朝青銅片口に。
 
   名前は知らなくてもハイキングなど山歩きを楽しんだことが
   あれば、必ず目にしたことがあるだろう。ドウダンの花は白
   がのるまんじいは好きだけれども、こうやって時代のある李
   朝の青銅の器に白いショウマと取り合わすなら、成程「赤い
   」ドウダンが相応しいように思う。
 
   それに片口が乗るのは、これまた李朝の古い箪笥であろうか。
 
   隣のページには大きく山芍薬の花が、チェンマイの籠に。約
   束のように葉には霧が十二分にかけてあって、まさに深山に
   咲く一葉の花といったところ。
 
   初風炉のころの濃茶席を引き受けられる力量のある花ゆえ、
   存在感はことさら大きい。
 
   これはと思ったのが、p11の古木の朴の花。下で引き締めて
   いるのが、東大寺長老の清水公照師の泥仏。蛇足ながら、美
   山荘の扁額も長老が揮毫されたものではないだろうか。
  
   初夏は白い花が似合う。
 
   「秋の七草」と題された1枚。
 
   背負い籠と書かれているので、のるまんじいが頭の中で妄想
   しているよりも大きいかも知れない。
 
   桔梗  女郎花  撫子  薄   萩   
   
   藤袴  葛  
 
   そのどれもが美しく。
 
   移ろいゆく晩夏から初秋にかけのかそけき変化がとてもよく
   感じられる。
 
 
   「虫たちの食いしん坊」
 
   虫食いになった葉の姿は楽しい。
 
 
   「つぶらな宝石」
 
   秋ともなれば、実がなって。ことに蔓状の植物たちの姿が好
   きだ。ここでは時代籠を向こう掛けにして冬苺と牡丹蔓を十
   分に遊ばせて。
 
   小さな竹籠も向こう掛けで、紫に色づいた実と黄葉を懸崖に
   して。これは席に座ってみたい。
 
   ただただ、感心するままに何も考えずにページをめくり、拙
   い感想をちょろっ、ちょろっと書いている。
 
   このp36の一葉はどうだろう。
 
 
      降りみ降らずみ。五月雨に、山里は紫だちて。  
   
 
   この景色は、朝まだきだろうか、それとも五月雨に早くも日
   が落ちていく夕べの風情だろうか。まさに東山魁夷氏の世界
   そのものである。
 
   日本といえば、春はさくら、秋は紅葉となるだろうか。
 
   裏表紙の世界を堪能されたい。
 
 
   花好き、山好き、自然好き。好奇心強いすべての方に一読を
   お薦めしたい。そして一度美山山荘に足を運ばれたら如何だ
   ろうか。
 
   のるまんじいも一度は訪ねてみたい宿である。      
 
   
 
 
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    美山山荘のホームページです
 
 
 
 
 
     
 http://miyamasou.jp/html/about/index.html
 
 
 
 
 
      井上隆雄  和の世界へ  
 
 
 
     
http://www.wanogakkou.com/hito/0030.html
 
 
 
 
     やまざくらが印象的でした

 
 
 
     「日曜日の朝ぼくは」
 
 
                           (理論社/刊)
              
               斉藤 洋/作
               森田 みちよ/絵

 
 
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      京都・美山荘
 
 
 
 
       花もごちそう
    
 
 
        
                  中東 和子/著
                  井上 隆雄/写真  
 
 
 
 
         
      
          2001年4月 初版 文化出版局刊
             
 
 
 
       文化出版局のホームページは
 
 
 
        
http://books.bunka.ac.jp/np/index.do
     
   
 
   
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