まあやんの 徒然なる日々

お薦めの本の紹介と移ろいゆく日々の中から目にしたことを綴るブログです
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# 「『てぶくろを買いに』」

JUGEMテーマ:オススメの本

 

 

 

  冬のお出かけの定番は、マフラーと手袋。

 


  その手袋何気なく置いてあるのにふと目がいって。あ
  あそうだと。

 


  新美南吉さんの『てぶくろを買いに』が頭をかすめた。

 


  子ぎつねを思う母ぎつねの愛。その愛に充分に包まれ
  る子ぎつねとその無垢な好奇心。

 


  優しい人間との出会い。安心して読める一編。

 


  雪が降る頃になると思い出す。小さい人たちに必ず出
  会ってほしい作品だ。


 

  絵本で読むのが好きなオイラは数々出版されている中
  で、黒井健氏の描く世界がいいと思う。


 

  新美南吉さんの動物に寄せる優しさがよく描き表され
  ているようで。あの本で読んでほしいと思う。

 


  母親を早くに亡くした南吉氏の寂しさ、こうあったら
  よかったのにと思う心が埋め込まれている。

 


  目的をかなえた子ぎつねが町で、人間の母親が

 

 

 

  「ねむれねむれ母の胸に

 

 

   ねむれねむれ母の手に――」


 

  と子どもに歌っているのを聞いて、自分の帰りを山で

  待ちわびている母ぎつねのことを思い出すのだった。


 

  オイラは小1の国語で出会った(と思う)。


 

  いい作品はいくつになってもわすれないですね。それ
  と何より『ごんぎつね』のような結末にならないので
  大好きだ。


 

  次男の小学校の読み聞かせで、この作品をやったこと
  がある。


 

  黒井健さんの絵って本当にいいなあ。


 

  一読をみなさんにお薦めしたい。


 

  優しい表紙絵は、


 

  「おかあちゃん、おててがつめたい。おててがちんち
  んする」

 

 

  という子ぎつねの手にやさしく息をふきかけている場
  面でしょうか。

 

 

 

 

     てぶくろを買いに

 

    新美南吉/作

 

    黒井健/絵

 

        偕成社/刊

 

 

 


 

| comments(1) | trackbacks(0) | 11:42 | category: 書籍 「絵本」 |
# 「かさどろぼう」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
 
       かさどろぼう
 
 
 
 
     
 
 
 
                シビル・ウエッタシンハ/作
                いのくま ようこ/訳  
        
 
 
   ==============================================================
 
   
             
 
   むらの ひとたちは、 まだ かさを みたことが ありま
   せんでした。
 
   あめが ふったら、バナナや ヤムいもの はっぱを、かさ
   の かわりにしたり、 ふくろや きれや、かごを かぶっ
   たりしていました。
 
   大きな雨粒の落ちる中を老若男女慌てるでもなく、歩いてい
   く。足元はとみれば、すべてが裸足。
 
   身にまとっている衣装もおとなだったら、そこからインドや
   バングラディシュを思い起こすかもしれない。更紗のような
   模様が目に入る。
 
   ちいさな人たちはどうだろう。何の予備知識を与えられずに
   “読み聞かせ”に対峙したとき、「バナナ」「ヤムいも」そ
   して「裸足」といったところから、温暖よりももっと暑い国
   が舞台になっていることが想像できるだろうか。
 
   本書の舞台は、スリランカの田舎のようだ。
 
   のるまんじいの年代ならば、スリランカというよりも「セイ
   ロン」という国名の方が耳馴染みがあるかも知れない。
 
   念のため地図をここで広げてみよう。
 
   まずはインドが全部その姿を載せているページを探してみよ
   う。おそらくどの地図も左右にパキスタンとバングラディシ
   ュを従えて、中央に大きくインドは描かれているに違いない。
 
   その地図のインド亜大陸を下へ、つまりは南へ目をやれば、
   どんどん左右が細くなりやがて一緒になる。この一番南に近
   い、ポーク海峡をはさんで南東に位置する島、セイロン島が
   右下に描かれている。
 
   因みに首都名はスリジャヤワルダナプラコッテである。地図
   が好きな男の子が自慢気に「世界一長い名前の首都はどこ?
   」と、問題を出してくるときの答えである。
 
   いや、そうじゃないというときはご勘弁いただきたい。タイ
   のバンコクの正式名称の方が長いぞと言われても。地図上で
   書かれている文字数が一番多い首都名である。
 
   それはさておき。
 
   ここスリランカの田舎に、キリ・ママというひとりのおじさ
   んがいた。
 
   このおじさんがある日、生まれて初めて町へ出かけたときの
   ことだ。
 
   見るもの聞くもの何もかも珍しくて、きょろきょろするのは
   当たり前。のるまんじいなんか、今になってもきょろきょろ   
   してしまう。
 
   「みんな、おおきな はなみたいなものを もっているな。」
 
   ここは1つ、読み聞かせのときは絵を見せないで聞き手たち
   に想像させてほしいところだ。
 
   だって―ー
 
   見せてしまえば、答えはすぐわかってしまうし。おじさんが
   興味津々きょろきょろしている姿を想像させてほしい。
 
   もちろん、答えは手に手に傘を差しているところ。おじさん
   は生まれてこのかた、傘をいっぺんも見たことがなかった。
   しかもこの傘が日傘であったことも説明してほしいところだ。
 
   おじさんは傘にもう夢中――。
 
   自分も一本すっかりほしくなってしまったのだった。
 
   おじさんの足元を見ると、いつものように“裸足”。町に出
   るときも裸足で大丈夫だったんだ。ほかの人たちは履物をは
   いているようだ。そのあたりは大らかな雰囲気を残している
   のかもしれない。
 
   いつのことだったか、東南アジアを舞台にした絵本を読んだ
   とき、普段は裸足で過ごして、町に出かけるときだけ、履物
   をはくという場面があった。そんなことを思い出した。
 
   さて、傘に夢中になったおじさんは――
 
   やっと、好みの1本を選べたようである。
 
 
 
   まるで、おもちゃを もらって よろこんでいる こどもの
   ように、かさを ぐるぐる まわしました。
 
 
   バスに乗って、村に帰る道々、キリ・ママおじさんは、どう
   やって傘を見せびらかそうかと考える。これって人間の本能
   かしら。村の誰もが持っていない傘を、今自分だけが手にし
   て「満ち足りた」気分でいる。こんなとき、誰しも人に見せ
   びらかしたくなるものではないだろうか。
 
   これが子どもののるまんじいだったら、嬉々として簡単にご
   披露しちゃって、誰々ちゃんは一緒に入れてやる、なんて阿
   呆なこと言い出すかもしれない。
 
   大して変わらないのではないかなあ。
 
   そんなおじさんは見せびらかすなら、きれいな傘は昼間のほ
   うが目だっていいと思って、立ち寄ったバス停のそばのコー
   ヒー店で、用心して傘を塀のかげに隠すことにした。
 
   ここで何故だかおじさんは時間を費やす。秘めごとを内緒に
   しておく時間が楽しかったからだろうか。
 
 
   コーヒーを のんだり、おかしを たべたりして しばらく
   おしゃべりを して……
 
   
   塀の陰に置いたはずの宝物のようなかさはなくなっていたの
   だ。
 
   正直よくわからない。
 
   バスが、村に着いたときには、辺りはもう薄暗くなって誰も
   いなかった。これだったら、さっさとうちに帰ったほうがよ
   かったのではないかと。物語の展開上、ここでコーヒーをキ
   リ・ママおじさんに飲ませる必要があったのだろうか。
 
      理屈っぽいのがのるまんじい――ということで、お許しいた
   だきたい疑問がもう1つ。
 
   スリランカといえば、名高い紅茶の名産地。ここだったら、
   ティを1杯じゃないのかなあと。これってステレオタイプの
   考え方?実はスリランカではコーヒーも、あるいはコーヒー
   の方がよく飲まれているのかもしれないなあ。
 
   だけれど――
 
   傘を知らない村人が物陰に隠しておいた傘を持っていってし
   まうだろうか?
 
   それはさておき。
 
   傘を取られたおじさんは、がっかりして悲しくてしかたなか
   った。
 
   何日か過ぎての雨の日。
 
   仕方なくキリ・ママおじさんは、バナナの葉っぱをかぶるこ
   とになるが、あの傘が諦めきれずに町にもう一度出かけて行
   って、傘を買ってこようと思い立つのであった。
 
   この文章は左ページに書かれているのだが、対して右ページ
   一面にバナナの葉を手に持ったキリ・ママおじさんの無念そ
   うなそして悲しそうな顔が描かれている。
 
   そして。
 
   目的を果たして、村に戻ってきて、
 
   お約束のようにまたコーヒーの店に立ち寄り、時間を費やし、
   また傘を誰かに盗まれてしまう。
 
   これから、おじさんは傘がなくなる度に町に出かけて行って
   傘を買い、バスで村に帰ってくる。そしてコーヒーの店に立
   ち寄り、その間に傘を盗まれてしまう、を繰り返すことにな
   る。
 
   そこには“意地”ということばは書かれていないが、おそら
   くそうだったのだろう。
 
   このあたりまでくると、ちいさな人たちは読み聞かせならば
   どんな感想を持ってくれるだろうか。
 
   おじさんはこんなことを思っている。
 
 
   「ふしぎだなあ。あんなに たくさん かさを どろぼうし
   て いったい どうするつもりなんだろう。 いまに みて
   ろよ。 きっと つかまえてやるから」
 
   さあ。おじさんは傘どろぼうを捕まえることができるだろう
   か。というか、誰が傘を持っていってしまったのだろうか。
   おじさんが買ってきたあの傘たちはどうなってしまったのだ
   ろうか。
 
   想像はふくらむけれど、この後は直接本書をお読みいただく
   のがいいだろう、と思う。
 
   「どろぼう」と題名にもあって暗い話かと思っていまうけれ
   ども、まずは本書の表紙・裏表紙をご覧いただくとなんとは
   なしにそうでもないことがお分かりになるだろう。
 
   カラフルで可愛い傘と熱帯の植物と鳥たちが描かれている。
 
   結末はおじさんそのものの行く末とどろぼうそのものの種明
   かしとが用意されている。
 
   どろぼうの正体を目にしたときのおじさん同様に、この本の
   読者はそれを知ったときに思わず笑ってしまうだろう。
 
   この結末の迎え方は、本書の作者、シビル・ウェッタシンハ
   女史の考えによるものだろう。女史の心優しい視線をそこに
   感じることができる。
 
   ご本人からのメッセージによれば、この作品は、日本でいう
   昭和20年代にスリランカ南部で本当にあったことをもとにし
   ているようだ。
 
   小学校低学年以上。これまたあらゆる世代の方にお読みいた
   だきたい1冊だと思う。おそらくほっこりとした読後感をお
   持ちいただけるだろう。  
 
 
 
 
   ==============================================================
 
 
 
 
         かさどろぼう
 
 
 
 
     
 
 
 
                シビル・ウエッタシンハ/作
                いのくま ようこ/訳      
   
 
         
      
       1986年6月 初版 ベネッセコーポレーション刊
       1995年7月 7刷    
 
 
 
             2007年5月に徳間書店から刊行しています。
 
 
 
          徳間書店のホームページは
 
     
           http://www.tokuma.jp/
 
        
   
 
   
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# 「りんごかもしれない」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
 
          りんごかもしれない
 
 
 
 
     
 
 
 
                  ヨシタケ シンスケ/作  
        
 
 
   ==============================================================
 
   
             
 
 
      何ともおもしろく、奥深い絵本だろうか。
 
   この1冊を多くの方にお読みになるようにお薦めしたい。
 
   まずは、いつものごとくだけれど、『りんごかもしれない』
      という書名の何といいことか。すっかり気に入ってしま
   った。
 
 
   あるひ がっこうから かえってくると……
 
   とある。
 
   男の子が何気に食堂に目をやると
 
   
   テーブルの うえに りんごが おいてあった。
 
 
   のるまんじいのようないやしんぼうだったら、思わず「おい
   しそう」となるんだろうけど――
 
 
   男の子は
 
   
   ……でも……もしかしたら これは りんごじゃないのかも
   しれない
 
   
   思わずのけぞってしまう(笑)。
 
   理科的な想像力というか、妄想というか…。
 
   この男の子、何を考えとんのじゃいと言いたくなる。
 
   ヨシタケシンスケ氏描くところのこの男の子を見ていただく
   と、なるほどと頷いていただけるかもしれない。
 
   まあ、それはともかく。
 
  
   もしかしたら、 おおきな サクランボの いちぶかもしれ
   ない。
 
   それか なかみは ぶどうゼリー なのかもしれない。
 
   あるいは むいても むいても かわかもしれない。
 
   ぼくからみえない はんたいがわは みかんかもしれない。
   
   次々にそれにふさわしい絵が添っていて楽しい。
 
 
   りんごぐらい大きなさくらんぼが2個1組になって、そのう
   ちの1つにチョッキンとはさみが入れられて――。
 
   りんごの芯のところを持ち上げると、中にぶどうゼリーがぷ
   るんと入っていてて――。
 
   りんごの皮をむいても、そこにまだ赤い皮があって――。
 
   こんな絵になるのかと感心してしまう。これだけ読んでみな
   さんはどんな絵だと想像されるだろうか。
 
   男の子の想像力はさらにふくらんで、
 
 
   ひょっとして あかいさかなが まるまっているのかもしれ
   ない。
 
 
   なかは メカが ぎっしりなのかもしれない。
 
   1ページいっぱいに描かれたりんごの断面図が楽しい。
 
   包丁を潔くりんごに入れて、こんなのが現れたらどんな気持
   ちになるだろう。おとなだったら、“超”現実的に「誰かの
   悪戯か」ぐらいに思うのだろうか。小さい人たちだったら…
   …。
 
   それからそれから。
 
 
   じつは なにかの タマゴかもしれない。
 
 
   9このたまごからそれぞれの主が今孵ったばかりというとこ
   ろに
 
   うまれてきた なにかの あかちゃんは ぼくのこと おか
   あさんだと おもうかもしれない。
 
   
   まさしくそれぞれは「なにか」であって、なにかはっきりし
   ない。男の子の頭の中で想像できる域を越えているというこ
   とだろうか。「何か」がおもしろい。
 
   こんなのおかあさんだと思われたら――(笑)。大体、ワシ、
   とうさんだし。
 
   それでそれで――。
 
 
   そだてると おおきないえに なるのかも しれない。
 
   
   男の子は地面に置いたりんごに、水をじょうろでやっている。
 
 
   いちにちめ
 
 
            いっしゅうかん
 
 
 
                      いっかげつご
 
 
 
 
            さんかげつご
 
 
   完成!!
 
 
   かべを たべて へやのなかを すきな かたちに できる
   のかもしれない。
 
   可愛い!!
 
 
   じつは かみのけとか ぼうしが ほしいのかもしれない。
 
 
   りんごの頭(?)にいろいろ乗せて…
 
 
   しちさんわけ  パンチパーマ   みつあみ  シルクハ
    
   ット      しょうぼうし   ターバン  うんてん
 
   し       おんがくか    まいこさん パーマ   
                 
                ・
                ・
                ・
 
 
   うちゅうから おちてきた ちいさな ほしなのかもしれな
   い
 
 
   見開き全部を使って芯のついたりんごの上部をこれでもかと
   ばかりに描き、
 
 
   りんごの ひょうめんを よくみてみると……ちいさな う
   ちゅうじんが いっぱい いるのかもしれない。
 
   その宇宙人、「りんご星人」の体長 3ミリ!!
 
 
   男の子の妄想(?)は、まだまだ、ああでもない、こうでもな
   いとばかりに続くが、やがてかれは空腹に気がつく。
 
 
   でも……もしかしたら……やっぱり ふつうのりんご かも
   しれない…… いろも ふつうだし うごいてないし へん
   な おとも してないし なんだか おなかも すいてきた
   し……。
 
 
   それでも、念には念を入れ――。
 
 
   そして。
 
   かあさん コレたべていーい?
 
   この男の子は何と幸せな彼だけの時間の旅をしたのだろうか。
   
      おそらくここでは結末よりも結末に行き着くまでの、男の子
   の“想像の旅”をみなさんには楽しんでいただくのがよいと
   思う。
 
   この「想像」は男の子の、ではあるが、作者のヨシタケ氏の
   それであり、はたまた編集者とのやり取りで生まれたそれか
   も知れない。もしかしたら、ヨシタケシ氏のご子息との交流
   の中にあったものかも知れない。
 
   この絵本の読者の対象層は「小さい人たち」だろうけれども、
   本書は大人からの人気が高いそうだ。となれば、おとなであ
   るわたしたちは、もっと深くに隠されて「楽しさ」や作者が
   予想もしなかった「喜び」を本書から読み取ってもいいので
   はないだろうか。
 
   男の子がりんごを食べ終わって、芯をごみ箱にと思った刹那
   、彼は戸棚に置かれた置かれたバナナの房を見つける。見つ
   けられたバナナの方でも「ああ、見つかっちゃった」といっ
   たような緊張感が走っている(笑)。
 
   これって
 
 
           「バナナかもしれない」
 
 
   かな。
 
 
   ところで。
 
   ヨシタケシンスケ氏との出会いであるが。
 
   以前ご紹介させていただいた『日本人の日本語知らず。』(
   清水由美子/著 世界文化社/刊)が初めてであったが、のる
   まんじいはここで
 
 
   ヨシタケさんの素敵な絵が書かれた裏表紙に注目してくださ
   い。
 
 
   ヨシタケさんの絵、たまりませんね。大好きです!
   
   こんなふうにご紹介させていただいている。
 
 
   それが過日の5月14日(木)、NHKラジオ第一放送で月曜
   日か金曜日に放送されている情報ワイド番組『すっぴん!』
   のすっぴんインタビューコーナーにヨシタケシンスケ氏が登
   場されたのだ。
 
   この時はそれを偶然知ってすっかりうれしくなってしまった。
   そこで本書『りんごなのかもしれない』が刊行されているの
   を知り、すぐに図書館で検索、予約をしたのだった。
 
   子ども向けの絵本も楽しいけれど、大人向けの「絵本」もぜ
   ひ世に送り出してほしいと思う。このセンスで攻められると
   のるまんじいなんかいとも簡単に「やられた〜」と相成るだ
   ろう。
 
   そんなうれしい日をひたすら待ちわびるとしよう。
 
   子ども向けには“読み聞かせ”にもふさわしいと思う。 
 
 
 
  ==============================================================
     
 
 
 
 
     ヨシタケシンスケ ページ
 
 
      
       http://www.osoraku.com/
 
 
 
 
 
 
     「日本人の日本語知らず。 」
 
 
 
 
     すっぴん!
 
 
 
      http://www.nhk.or.jp/suppin/
 
 
 
 
 
 
     ヨシタケさんが登場したときが見られます
 
 
 
 
      
http://www.nhk.or.jp/suppin-blog/2015/05/
 
 
 
 
 
 
   ==============================================================
 
 
 
 
          
          りんごかもしれない
 
 
 
 
     
 
 
 
               ヨシタケ シンスケ/作      
   
 
         
      
           2013年4月 初版 ブロンズ新社刊
           2013年5月 2刷 
 
 
 
            ブロンズ新社のホームページは
 
 
         http://www.bronze.co.jp/
     
   
 
   
   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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# 「あめのひ」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
 
        あめのひ
 
 
 
 
     
 
 
 
 
              ユリー・シュルヴィッツ/作・画
              矢川 澄子/訳
        
 
 
   ==============================================================
 
   
             
 
 
          あめが ふりだした
 
          ほら きこえる
 
   
 
   少女が屋根裏の自分のへやのベッドの上で、カーテンのかか
   った窓の方を見やっている。
 
   今までしていなかった雨音が聞こえ出したのだろうか、それ
   とも窓を雨がたたき出したのかもしれない。
 
   どんよりとくもった日、雨が降り出すのも時間の問題、だか
   ら外へは遊びに行かなかった――
 
   それとも、そろそろみんな遊び疲れて、家に戻ってきたころ
   かしら――
 
   それは、ともかく
 
   少女の脇では、猫が毛づくろいをしている。
 
 
   雨降り――
 
   加齢とともに雨降りの苦手さが増してきた。低気圧が通過す
   るという前から身体は信号を出してくる。
 
   だから、これからの季節、どんよりとした天候と同様、のる
   まんじいの心も憂鬱さを増してくる。この憂鬱な天候と当分
   の間折り合いをつけていかねばならない。
 
   でも、
 
   少女にそんな悩みは存在しないだろう。
 
   今は、ゆっくり雨降りに心を添わせている。
 
 
          まどに ぴしゃぴしゃ  
 
          やねに ばらばら
 
 
   ああ、この本は、詩からなっている。
 
   原詩は英語なのか、それともヘブライ語なのか、どちらにし
   ても韻を踏んでいるのだろう。
 
   訳者の矢川澄子氏はそれを意識して日本語にしているのだろ
   う。
 
   窓の向こうはどしゃぶりの雨になってきた。
 
   猫が窓際から外を眺めている。
 
   今度は少女の部屋を外から作者のユリー・シュルビッツ氏は
   描く。細く描かれた空から降る雨。暗い空。ダウンタウンだ
   ろうか。少女の部屋だけに明かりが灯っている。
 
   音が聞こえる。
 
   窓に当たる音。屋根に降る音。
 
 
        
          まちじゅう すぽっり あめ あめ
 
 
 
   傘を差しながらも走って家路に向かう人々。雨の強さに人の
   往来は却って少なく、静か
 
 
          あめは やねを すべって といの 
 
 
 
              とんねる くぐり
 
 
 
          ざあざあ あふれだして
 
     
 
          どんどん どぶを はしる
 
 
          あしたは ふねで あそぼう
 
 
 
    ここで少女の少女らしい思いが登場する。
 
    アパートの裏庭の水溜りにふねを浮かばせている少女。
    明日の自分を想像している。
 
 
          あめだ! のやまに あめだ
 
 
 
    ここからの絵が穏やかで美しくて、のるまんじいは本書を
    借りることにした。
 
    まるで水墨画のような1枚。北海道のような広い大地が描
    かれている。右端の方には懸命に羽ばたく鳥の群れが。
 
 
    そうだ。マーラーだ。マーラーの『大地の歌』だ。
 
 
    もう随分昔にサントリー・ローヤルのCMがあった。あそ
    こで使われていたのが、『大地の歌』だった。
 
 
    今、You-Tubeで見直してみたが、まさしく本書にぴったり
    だと思う。
 
      
   
          おかにも ふる   
 
 
 
          くさにも ふる
 
 
 
    このページも美しい。シュルヴィッツ氏は自然を描く。
 
 
    オリエンタルな世界は続く。
 
 
 
           いけにも ふる
 
 
         
           かえるさん だまって!
 
 
           みんな みずに もぐって 
 
 
 
           あめの うたを おきき
 
 
 
           みずは ちょろちょろ
 
 
 
           ながれに なって      
            
 
 
   流れになってどうなっていくのだろう。
 
 
   そして、どうやって少女のところへ話は戻ってくるのだろう。
 
   それで、どんなフィナーレを迎えるのだろう。
 
   でも。
 
   それは、ヒミツ。
 
 
   読んだ人にだけ分かる。そうしよう。
 
   雨はまだ降り続けている。町を静かに包み込んで、雨音だけ
   が聞こえている――。
 
 
   のるまんじいは何の前知識もなく、本書を図書館で借りた。
   ただ、6月に相応しい本、紹介したいと思わせてくれた1冊
   だったから。
 
   本書を読んで、また初めから読んでを繰り返しているうちに
   、「あれっ」と思った。そして調べてみると、作者のユリー
   ・シュルヴィッツ氏は絵本では傑作の呼び声が高い『よあけ
   』(瀬田貞二/訳 福音館書店)の作者でもあって、腑に落ち
   たというか、納得がいった気がした。
 
   そこで、念のためシュルヴィッツ氏について引用させていた
   だいておこう。
 
   1935(昭和10)年、ポーランドのワルシャワ生まれ。3歳の時
   から絵を描き始めたそうだ。4歳で第2次世界大戦にあい、
   各地を転々とした後、47(昭和22)年にパリに落ち着く。49年
   にイスラエルに移り、59年にアメリカに渡って2年間ブルッ
   クリンの絵画学校で学び、ニューヨークの出版社で、ヘブラ
   イ語の子どものために、最初のイラストレーションを描いた。
 
   ユダヤ系ポーランド人ということで大変な年月を過ごしたと
   想像に難くないが、ここには書かれていない。
 
   なお、本書『あめのひ』は69(昭和44)年にアメリカ図書館協
   会の選定図書に選ばれている。  
 
   本書を読んでいる間、こころが静謐に穏やかで、話し声を意
   識の中で感じなかった。それよりも、先程のマーラーと共に
   クラシックのピアノの小品を流したくなった。それは、シュ
   ルヴィッツ氏の出身国が同じ、フレデリック・ショパンの前
   奏曲『雨だれ』であった。
 
   これでは、あまりに当たり前すぎて面白くないではないかと
   いうお声が多いかも知れないが、色数が少なく本当に落ち着
   いた『あめのひ』には、この曲がふさわしいように思えたの
   だ。
 
   ぜひ、試していただきたい。
 
   読者対象層としては4歳からのなっているが、上限はないの
   であらゆる年代の方に一読をお薦めしたい。 
 
         
 
 
  ==============================================================
 
 
 
 
 
     サントリー・ウイスキー ローヤルのCM
 
 
 
     マーラー作曲   『大地の歌』
 
 
 
     https://www.youtube.com/watch?v=3-h_kaEnNKg
 
     
 
 
 
     フジ子・ヘミングさん演奏の
 
 
     雨だれ エチュードは
 

 
 
     https://www.youtube.com/watch?v=B7UgLUYW55U
 
 
 
 
   ==============================================================
 
 
 
 
        あめのひ
 
 
 
 
     
 
 
 
 
              ユリー・シュルヴィッツ/作・画
              矢川 澄子/訳      
   
 
         
      
           1972年9月 初版 福音館書店刊
           1992年5月 6刷  
 
 
 
          福音館書店のホームページは
 
 
        http://www.fukuinkan.co.jp/
     
   
 
   
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# 「あらしのよるに」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
 
        あらしのよるに             
                        
 
 
 
 
     
 
 
                  木村 裕一/作         
                  あべ 弘士/絵  
        
 
 
   ==============================================================
 
   
             
 
   小学生中学年対象の読み聞かせ会を催したことがある。
 
   その時に本書『あらしのよるに』を取り上げたのだが、移ろ
   いの早い時代のせいか、すでに子どもたちは本書を知らなか
   った。会としては新鮮であったが、のるまんじいはその事実
   に愕然としてしまった。
 
   そこで、今回8年前にめるまがで配信させていただいた記事
   を推敲して今一度世に出したいと思った次第である。
 
 
 
      あらしだあ!
 
   それもただのあらしではない!
 
   まわりがすっかり暗くなったかと思うやいなや突然襲いかか
   ってくる水の粒たちと、情け容赦なく吹きつけ、あわよくば
   すべてを闇に葬り去ろうとする風だ!
 
   漆黒の闇は、すべてを飲み込んでしまう勢いの深い闇は、人
   間ばかりか、生き物たちを限りなく心細くさせる。
 
   そんな闇におしつぶされそうになり、身体に力まかせにぶつ
   かってくるおっきな雨の粒に全身すっかり濡れ、ほうほうの
   ていで壊れかけたちいさな小屋にもぐりこんだ華奢でちっぽ
   けな白いヤギ。
 
   あらしからだけは身を守れたが、いぜんとしてまっくら闇。
   外では風がまだ大きな音をあげ、時に闇をつんざく稲光とそ
   れに呼応するかのようにとどろく雷鳴がおそろしい。
 
   そのときだった。
 
   ガタンと1つ音をさせて“やつ”が小屋に足を踏み入れてき
   たのは。もちろん、闇の中。何にも見えやしない。するのは
   やつの息づかいだけ。
 
   歩く足音がコツン ズズ、コツン ズズ。うふっ、ひずめの
   音か。だったらヤギにちがいない。そう白ヤギは直感した。
 
   もし、オオカミなんかだったら、そりゃあもうそれだけでお
   おごとだ。ヤギだと相手を確信して闇の向こうに声をかける。
 
   「すごいあらしですね、あなたがきてくれてほっとしました
   よ」
 
   闇の向こうからもこんな声が返ってくる。
 
   「そりゃあ、おいらだって、あらしのよるに、こんな小屋に
   ひとりぼっちじゃ、心細くなっちまいますよ」
 
   おいらだって?なっちまいますよだって!なんか危ない匂い
   をそこはかとなく漂わせてくる向こうの方。ヤギはそんなこ
   とばに注意を傾けない。
 
   だからヤギはヤギ?
 
   ヤギだって、ドイツにいる親類からグリムが作ったお話だっ
   ら聞いたことがあっただろうに。
 
   でも、ヤギはヤギ?
 
   さて、小屋の中にたった2匹の、ヤギとヤギの“おなかま”
   はあらしのおかげでかぜをひいちゃったらしく、においがぜ
   んぜんわからない。声を聞いても、「まさかねえ、そんなこ
   とがあるはずないし」と思うふたり(?)。
 
   ヤギが見えない向こうにむかって「どちらにおすまいで」と
   問いかける。「へえ、おいらは、ばくばくだにのほうでやす」
 
   「おいおい、気づけよな、まったく、もう」子どもならそう
   思う?おとなだったらもう少しこのままでって、唇の脇でに
   やっと微笑む?
 
   「ばくばくだにって、あぶなくないですか?」あぶねえのは
   おめーえのほうだろうが!
 
   ヤギも向こうのお“お仲間”もはらぺこで。それぞれに食べ
   のもの話をしていて2匹が同時に「あのおいしい……」と言
   ったところで、幸か不幸か雷の音がして「……」はお互いの
   耳に届かなかった。
 
   すっかり意気投合した2匹。ふたり(?)とも「よく似てま
   すなあ」だってよ。「じつは顔まで似ていたりして」だとよ。
 
   すぐ近くで稲妻が光って、2匹の姿がくっきり映し出されて、
   でも「まぶしくって目をつぶっちゃって」ってさ。
 
   子どもたちのくすくす笑いが聞こえてきそうだ。
 
   近くで鳴ったかみなりの音に思わずヤギとお仲間はしっかり
   と身体を寄せ合って。うひょひょ〜。いいのか、いいのか?
 
   さて、そのヤギたちは、「せっかくですから、お食事でもご
   いっしょにいかが」と相成る。そして明日のおひるにこの小
   屋の前で会おうということになった。
 
   顔がわからないから、その場に行ったら「あらしのよるに」
   ってあいことばを言おうと約束した。
 
   どこまでも人間的である。というよりも、人間がそれぞれの
   姿を借りているように思える。
 
   だからこそおもしろいのだ。
 
   夜明け前のそれでも東のそらがぼんやりと色を帯びてくるそ
   のころに小屋で出会って一夜をともにしたヤギたちは別々の
   道を歩いていく。再会を心待ちにして。その後、何が起こる
   かはだれもわからない。
 
   でも、これは物語のプロローグに過ぎない。
 
   例の「悪魔のささやき」がふつうの童話とは一味違うからお
   もしろいぞって得意げに教えてくれた。
 
   図書館に問い合わせたら、絵本のコーナーに分類されていて
   。いやあ、絵がいい。あべ弘士氏はこの仕事を始める前まで
   北海道の旭山動物園で飼育係していた方だ。
   
   お子さま向きのあの甘ったるさがあべさんの絵にはない。木
   村さんの文も、いい。読んでいても、緊張感がずっとあって
   片時も離れない。頭のほうで早く、はやくと休みなくせっつ
   いてくる。あっという間に1冊読みきってしまう。これは子
   どもも同じことだろう。
 
   このあとどうなるのと思わせる、そんな終わり方で。多くの
   子どもたちから続編のリクエストが作者の木村裕二さんに寄
   せられたんだった。
 
   それで
 
 
          『あるはれたひに』
 
          『くものきれまに』
 
          『きりのなかで』が誕生し、続き――。
  
 
   それにしてもうまい題名のつけ方だ。「〜に」「〜で」なん
   て児童書には少ないと思う。大体、体言で終わっている。収
   まりがいいからだろう。
 
   そこをあえて覆しちゃって「〜に」「〜で」なんて余韻を残
   すのは、子どもに何かを感じてほしいからかな。
 
   のるまんじいは『きりのなかで』まで読んだ段階で記事を書
   く。だから、ヤギと、そして「あらしのよるに」というあい
   ことばの主の行く末をは知らない。
 
   それにしても子どもたちに話を聞いたら、まあ、この本の存
   在をよく知っている。「読んだ、読んだ」の大合唱で。
 
   ところで。
 
   のるまんじいの妄想は、ヤギと「あらしのよるに」のあいこ
   とばのお方が第3部の『くものきれまに』でおたがいを「ひ
   みつのともだち」と呼び交うこのあたりでピークを迎える。
 
   「あらしのよるに」という「あいことば」はどうだろうか。
   秘めごとをするというスリルがあるように思う。読み方によ
   っては危険な香りがぷんぷんして。
 
   秘めごと――
 
   山あり谷あり、迂路も曲路も歩いてきたおとなだからこそ、
   一味も二味も違った読み方がでる。その読みかたの方が実は
   書き手の意図するところと近かったりして(笑)。
 
   のるまんじいは特に今回『くものきれまに』に出てくる「ひ
   みつのともだち」ってことばにすっかり魅かれてしまった。
   
   なにしろ「ひみつ」なのだから。危険な匂いのする、そう「
   秘密の味は蜜の味」っていうアレ……。ほかの人(?)、家
   族だろうが友だちにも、もしかしたら恋人にさえ知られては  
   ならないそんな「ともだち」。ないしょの。
 
   「ひみつのともだち」ってどんなだろうか?年の差なぞ関係
   ない、性別だってそうだ。異性だろうが同性だろうが、そん
   なことは関係ない。別にどこの国の人だって、いやいや宇宙
   人だっていい。
 
   人間に限定することもないか。生き物でなくてもいいか。
 
   どんな存在になるだろう。
 
   打算に走らない、本当に心の通い合っている「ひみつのとも
   だち」ならひとりいてもいい。なんか緊張が持続しそうだし。
   
   どんな相手がいいだろう。せっかく「ひみつ」なんだから、
   とっておきの「ひみつのともだち」でないとだめだ。
 
   じゃあ、のるまんじいのそれってどんな人?そんなあ、そん
   なの聞くだけ野暮だ。それこそ「ひみつ」(笑)。
 
   物語の世界からずいぶんとまあ、妄想の世界に入っちまった。
   それでも、楽しいものだ。これってもしかして、創造の第一
   歩かも知れない。
 
   中高生たちだったら、どう読むだろう、この本を。知りたい
   なあ。そしてやっぱり、やわらか頭のおとなたちに読んでほ
   しいそんな1冊、いやいやシリーズである。
 
 
 
  ==============================================================
     
 
 
 
        なお、第5部以降ですが
 
 
        第5部  『どしゃぶりのひに』
 
 
        第6部  『ふぶきのあした』
 
 
           第7部  『まんげつのよるに』
 
 
        特別編  『しろいやみのはてで』と続きます
 
 
 
  ==============================================================
 
 
 
 
     木村裕一氏の作品です
 
 
     「あしたのねこ」
 
 
 
 
 
     きむらゆういち  公式ホームページです
 
 
 
 
     
http://www.kimura-yuuichi.com/
 
 
 
 
     あべ弘士氏の作品です
 
 
     
「どうぶつ句会 オノマトペ」
 
 
     
 
 
 
     ギャラリー プルプルです
 
 
     
http://kawauso-club.com/contents/abe.html
 
 
 
 
   ==============================================================
 
 
 
 
        あらしのよるに
 
     
 
 
       
    
 
 
                  木村 裕一/作         
                  あべ 弘士/絵    
   
 
         
      
           1994年10月 初版 講談社社刊
             
 
 
 
          講談社BOOK倶楽部のホームページは
 
 
         http://bookclub.kodansha.co.jp/
     
   
 
   
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# 「ん」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
 
        ん
 
 
 
 
 
 
                  長田 弘/作
                  山村 浩二/絵    
 
 
 
 
 ==============================================================
                
 
 
   
 
   ひらがな、かずかずあれど、五十音図をながめていても、「
   ん」の字だけおまけみたいに最後にくっついている。
 
   ほかの字は「行」も「段」もちゃんとあって、収まるところ
   に収まっているのに、なんか居心地悪そうに、恥ずかしそう
   に最後のさいごにちょこんとくっついている感じ。
 
   それが、
 
   「ん」の字。
 
   まあ、みんながみんなそう思うかどうかはわからないけれど。
 
   妄想かな。
 
   でも……、でも。
 
   この絵本の作者の長田弘さんは詩人だから、きっとこの「ん
   」の字に何かを感じたに違いない。
 
   それで、イラストレーターの山村浩二さんとコンビを組んで
   できあがったのが本書って訳、かもしれない。
 
   はだいろの地色の表紙。
 
   黒で、すうっ、すうぅて線を2本すくって 、その下ちょっと
   はなれたところに、今度は赤で、小さく線を、すうっとすく
   ってよく見れば、ふせた目と口になっている。
 
   そのおでこの部分に黒色で「ん」の字がある、
 
   まるでほとけさまのお顔のようにも見える。
 
   それがくるっとひっくり返して、裏表紙をみると、おやおや
   今度は口のところが「ん」の字になっている。     
    
   何ともシンプルな表紙だこと。
 
   ちいさな人たちは喜んでこの本を手に取ってくれるだろうか。
   手取ってほしいと、のるまんじいはそう思う。
 
   さあ、「ん」の字がどんなふうになるのか気になるところ。
   中を見てみよう。
 
   作者は(編集者かな…それはともかく)、表紙裏で
 
   「こえにだしてよんでみよう」
 
   と、いっている。
 
 
   どうやら、さっきのと同じような顔がずっと出てくるらしい。
 
   
       ん。うん。
 
   
       ん。なに?
 
 
       ん。そう。
 
 
       ん。そうなん?
 
 
   会話は続いていくよ。
 
 
       ん、やっぱり。
 
       ん、でもね。
 
 
   顔はシンプルに、されど最大限にその表情を変えていく。
 
 
      
       ん…、どうしよ。
 
   
       ん…、どうしよか。
 
       ん!よっしゃ。
 
 
 
       じーん、ときちゃった。
 
       しーん、となっちゃった。
 
            ・
            ・
            ・
 
       なつ。みーん、みーん。
 
 
       ふゆ、しーん、しーん。
 
 
   「ん」がなきゃ、はじまらない。
 
 
   「ん」がなきゃ、しまらない。
 
 
   けっして、“おまけ”じゃないよ。
 
 
      
           「ん」
 
 
   作者は語る。
 
 
        こまる。んがなきゃ。
 
 
        あかん。だいじにせな。
 
 
   文字に興味を持つ。当たり前のようだけれど当たり前では決
   してないことを幼児期のころから、身につけていってほしい。
 
   「文字」を大切にしていってほしいなあ、ちいさい人たちは。
 
   
   ひらがなをみると思い出す。
 
   わが愚息どもがそれはそれはまだ可愛らしかったあのころの
   ことを。
 
   家族総出の「しりとり遊び」。
 
 
    中村汀女氏の
 
   
      咳の子のなぞなぞあそびきりもなや
 
 
   ではないが。
 
 
   我が家では、しりとり遊び、「きりもなや」だった。この遊
   びは愚息どもがちいさいころから、小学校の高学年になって
   も続いたのでは、なかったろうか。
 
   ひとつでもいいからたくさんのことばを覚えてほしい、使え
   るようになってほしいという親心からだった。
 
   最初は当たり前のように、平穏に仲良く進んでいくのだが、
   ある頃合いを見計らうように特定の、例えば次男に同じ音が
   いくようにする。結構難しいのが「ル」。
 
 
            ビール
 
 
            トンネル
 
 
            ランドセル
 
 
            サンダル
 
              ・
              ・
              ・
              
 
 
   「何でおれのとこばっか、『ル』がくるんだよ」と怒る次男。
 
   こうなると他愛もない遊びとはいえなくなってくる。真剣勝
   負だ。
 
 
            ルビー
 
 
            ルーペ
 
            
            ルール
 
              ・
              ・
              ・
 
 
   必死に頭に「ル」がつくことばを考える。その時次男の前の
   ものは既に「ル」で終わる単語を探している。
 
   こんな具合で最後はいつも険悪なムードに。
 
   それでも、飽きもしないで「しりとりあそび」はつづいたも
   のだった。
 
   この「しりとりあそび」には、「ん」で終わると、答えた人
   の負け、そんなルールがあるのはみなさんご承知のこと。
 
   それが、
 
   あるころから、「地名」もいいよねと、長男が言い出して、
 
 
 
         ンジャメナ(チャド共和国の首都)
 
 
 
         ンドゥトゥー(タンザニアの地名)
 
 
   を始めとして使い出した。
 
   日本語で、「ん」で正確に始まる単語はないけれど、一歩外
   に飛び出すとそうでもないらしい。
 
   インドネシアのデンパサール国際空港の正式名称は「ングラ
   ライ国際空港」というらしい。
 
   広東語では「呉」を、〔n〕と発音するそうだし、台湾語で
   は「黄」が〔n〕なのだそうだ。
 
   国内でも、沖縄の宮古方言では、「ようこそ」の意で「んみ
   ゃーち」と使うのは名高いようだ。
 
   やっぱり、「ん」は大切なのである。
 
 
   ということになるだろうか。
 
   幼児向け。3歳以上からとある。でも、こんなおもしろい奥
   深い本を特に手に取らないない。おとなだけの「ん」の世界
   を紡ぎだしていくのも亦楽しからずや、ではないだろいか。
   1人でも多くのみなさんに一読をお薦めしたい。      
 
   
 
 
  ==============================================================
     
 
 
 
 
     長田弘氏が訳しています
 
 
 
     
     
「アイスクリームの国」
     
   
 
 
      Yamamura Animationです  
 
 
 
      
http://www.yamamura-animation.jp/j-news.html 
 
 
 
 
      首都ンジャメナ   西遊旅行
 
 
 
 
      
http://www.saiyu.co.jp/special/africa/chad/midokoro/ndjamena/
 
 
 
 
      ンドゥトゥ地区   Safariです     
 
      
 
      
http://www.tanzania-tour.com/archives/1186
 
 
 
 
   ==============================================================
 
 
 
 
       ん
 
 
 
   
 
 
                  長田 弘/作
                  山村 浩二/絵 
 
 
 
 
         
      
          2013年9月 初版 講談社刊
             
 
 
 
        講談社BOOK倶楽部のホームページは
 
 
 
          
http://bookclub.kodansha.co.jp/
     
   
 
   
   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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# 「こいぬのうんち」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
        こいぬのうんち 
 
 
 
                 
 
 
 
                 クォン・ジョンセン/作           
                       チョン・スンガク/絵
                 ピョン・キジャ/訳 
 
 
 
   ==============================================================
 
   
                          
 
 
   生き物なら誰だって“排泄”をする。
 
   有態に言っちまえば、動物たちは「ウンコ」と「しっこ」を
   する。
 
   人間の場合、どんなに美人で上品な方でもすることは、基本
   同じである(見た訳ではないので、同じであろう)。どうや
   ったって、逃れているものはないだろう。
 
   これが、ある年齢を迎えると、「恥ずかしい」ということで、
   学校で特に“おっきい方”が、できなくなる。「臭う」「音
   が出る」とか言って。あるいは、出なくなる。身体に悪いこ
   とこの上なしであるけれど。
 
   だから昨今の小中学校ではいろんな工夫をトイレにしている
   らしい。考えたら面倒くさいが、まあ仕方のないところだろ
   うか。
 
   それが、一転動物の世界に目を転じれば、これがまあ堂堂と
   やっている。中には見られて恥ずかしそうな面持ちのものも
   いるが。「見るな〜」そんな表情にもみえる。
 
   まあ気分がすっきりするぐらいに、これでもかとやってくれ
   る。
 
   本書にちょっとだけ登場する、トリ(男の子名前)の家のし
   ろが、石垣のすみっこでうんちをしたところから、この物語
   は始まる。
 
   わんこが「ウンコ」の体勢に入るとすぐ分かる。背中をちょ
   っと丸めて、独特の可愛らしさがある。その前にどこでやた
   ったらいいか、そわそわ場所を探す仕草もまた愛らしい。
 
   「しろ」は石垣のすみっこを選んだようだ。
 
   チョン・スンガクさんの描く韓国の風俗が目に新しい。こん
   な石積みはまだ見たことがないような気がする。
 
   絵を担当されたチョン・スンガク氏は韓国中部の忠清北道の
   お生まれだそうだから故郷の農村をイメージされて描いてお
   らるのかもしれない。
 
   ここでは、この「しろ」がしたウンチに命を与えている。
 
   すずめが飛んできて
 
   「うんち!うんち!アイゴー きったねえ…」って。
 
   韓国ではすずめまで「アイゴー」って、いうんだね。
 
   生まれたてのうんちは自分が「きたない」っていわれて、腹
   がたつやら、悲しいやらで泣き出す。
 
   そんなうんちを見ていたのが、「土くれ」だった。
 
   まあ、そのバカにすること。
 
   「おまえはうんちのなかでも、いちばんきったねえいぬぐそ
   だぞ!」
 
   ってね。こう言われちゃ救いようもありゃしない。
 
   それでも、この土くれには良心があった。
 
   自分のことを「ずるいし、きたないかもしれない」と語り出
   す。
 
   去年の夏の雨がちっとも降らないときに唐辛子の赤ん坊を枯
   らしてしまったんだ、と。だから、罰が当たって荷車から落
   ちてここにいるんだと。
 
   ちなみに、“唐辛子”は男の子のシンボルをあらわす。
 
   その後で「土くれ」は、通りかかった荷車のおじさんに“うち
   の畑の土のようだ”と、大切にすくい上げられ元の場所に戻れ
   ることになる。
 
   その一方で、「しろ」のうんちはどうなっただろうか。
 
   半島の冬は寒い。
 
   雪が降り出す。
 
   「うんち」の上にも雪が容赦なく積もっていく。
 
   「ぼくはきたないうんち。なんのやくにもたたないんだ。ぼ
   くはこれからどうすればいいんだろう?」
 
   こいぬのうんちは、ひとりさびしくつぶやきました。
 
   と。
 
   もし、これが「読み聞かせ」だったりしたら、このあたりで
   “聞き手”に「みんななら、このうんちをどうしてやりたい
   ?」って、発問したくなる。
 
   それとも、じっとこらえて淡々とお話を進めていくだろうか。
 
   作者のクォン・ジョンセンさんはどんな結末をこの“うんち
   ”に用意してくれていただろうか。
 
   「命の大切さ」と言ったら、大袈裟だろうか?はたまた「他
   者のために生きる」と表現すればいいだろうか。
 
   興味本位でなく、こころの優しさを育めたらいいなあと思う。
 
   最後まで読んでいただきたいと思う。
 
   クォン・ジョンセン氏の絵本を取り上げるのはブログでは201
   3(平成25)年3月の『こだぬきさんちのはるむかえ』(いのち
   のことば社/刊)に続いて2回目となる。めるまがだと同作品
   をもう少し前に配信させていただいたのではないかと思う。
 
   そこで作者クォン・ジョンセン氏についてふれたので、お読み
   いただけたらと思う。
 
   幼児以上。あらゆる世代の方までにお薦めできる作品だと思
   う。
 
   
 
    
   ==============================================================
 
 
 
 
 
 
      
「こだぬきさんちのはるむかえ」
 
 
 
 
 
 
 
                 クォン・ジョンセン/作
                 ソン・ジンホン/絵
                 なかむら おさむ/訳
 
 
 
   ==============================================================
 
 
 
 
 
 
 
         こいぬのうんち 
 
 
 
                 
 
 
 
                 クォン・ジョンセン/作           
                       チョン・スンガク/絵
                 ピョン・キジャ/訳 
 
 
 
 
   
 
         
      
             2000年9月 初版 平凡社刊
             
 
 
 
            平凡社のホームページは
 
 
 
            
http://www.heibonsha.co.jp/
     
   
 
   
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# 「猫の事務所」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
        猫の事務所 
 
 
 
 
 
                  宮沢 賢治/作
                  黒井 健/絵 
 
 
 
 
   ==============================================================
 
   
             
 
 
   
   軽便鉄道の停車場のちかくに、猫の第六事務所がありました。
   
   で、始まる宮沢賢治さんの『猫の事務所』という物語がある。賢治
   さんが生前に発表した数少ない作品の1つであるという。
   
   のるまんじいはどうも宮沢賢治さんという人の書いた物語に些か苦
   手意識を持っているようだ。それが『よだかの星』であったり、『
   銀河鉄道の夜』であったとしてもである。賢治さんのファンの方に
   はただただ「ごめんなさい」と言うしかないのである。何が苦手な
   のかと問われれば、「うーん」とうなり黙すだけなのである。ただ
   なんとなくと言ったら身も蓋もないだろうか。でも、実際のところ
   そうなのである。
 
   だからかなのだろうか、このめるまがでもブログでもみなさんに読
   んでいただいているのにも拘らず、無意識ではあるが賢治さんの作
   品をついぞ取り上げたことがなかった。繰り返すが、決して「故意
   」ではなく、おそらく物語の中に展開する世界の難しさに臆して取
   り上げようという気にならなかったのかも知れない。
 
   「のるまんじいはしたり顔で本の紹介をしているけど、お前さんは
   『読書家』ではないねえ」などという声が聞こえてきそうである。
   そうなのだ。のるまんじいは決して「読書家」などではない。自分
   が読んでみて気に入った本を気ままに紹介させて頂いているだけだ
   もの。
 
   そんなのるまんじいが、この『猫の事務所』という本を読もうとし
   たきっかけは賢治さんではなく、画家の「黒井健さん」にあった。
   茂市久美子さんの『またたびトラベル』をご紹介したときの本の挿
   し絵を黒井さんが担当していたのだった。あの可愛らしい猫ちゃん
   を見て、黒井さんの猫の絵に注目したのだった。手当たり次第当た
   ってみたのだった。その結果、この『猫の事務所』とも出会うこと
   ができたのだった。
 
   であるから、今回はどなたの手になる絵であってもいいのではなく
   、黒井健さん描く『猫の事務所』でなくてはならないのだ。パステ
   ル調の淡い色遣いで黒井健の世界を描き出している。事務所の外観
   なんぞこの度復元された建物そのものである。
 
   さてさて、この猫の第六事務所は、主に猫の歴史や地理を調べると
   ころであった。ここには少しばかり耄碌(もうろく)した黒猫の事
   務長とその下に4匹の書記がいた。この書記になるにはなかなか難
   しく若い猫たちから尊敬されていた。
 
   それにしても――
 
   この“事務所”とやら、一体いくつまであって、はたまたそれぞれ
   どんな役割を負っているのだろうか?
 
   この4匹の書記たちの中で四番書記は竈猫(かまねこ)だった。竈
   猫とは白猫、三毛猫といったような種類の分け方ではなく、寒さに
   勝てずに夜、竈(かまど)に入って眠る癖のある猫のことで、いつ
   も煤で顔や身体が汚れている、狸のような猫のこという。
 
   この竈猫をほかの3匹の書記の猫たちは嫌い憎んでいた。そして馬
   鹿にしていた。だから3匹たちはことあるごとに竈猫をなんだかん
   だといじめた。
 
 
   この「いじめ」が原因で第六事務所は半年前に廃止に追い込まれた
   のだった。
 
   二番書記の虎猫が誤って弁当箱を机から落としたのを竈猫が見かね
   て拾ってやったのに、この虎猫ときたら礼を言うどころか、今でい
   う逆ギレして怒り出す始末だった。
 
   三番書記の三毛猫ときたら一番竈猫を嫌っており、生理的にも竈猫
   を許せなかったんだろう。ある時、竈猫に親切にされても虎猫と同
   じようになじるだけだった。
 
   ある時、竈猫は風邪をひいた。夏の土用生まれの竈猫は寒さに滅法
   弱かった。この日、1日とうとう竈猫は事務所を休む羽目になった。
 
   その日、事務所で自分がどんなことになっているかも知らずに。事
   務長まで巻き込んだあくどい企みを見抜けずに。
 
   あくる日、事務所に出て行った竈猫にどんな試練が待っていただろ
   うか。ただただじっと我慢する竈猫。静かに涙を流す竈猫の姿だけ
   があった。
 
   さて、幕切れが近づいた。のるまんじいはこの幕切れがよくわから
   ない。初めて読んだときは「えっ!これで終わり?」「ほんとなの
   ?」と頭の上には?マークがいっぱいに旗を立てる具合に不可解だ
   った。あっさりと言ったらいいのか、物足りなさというか中途半端
   といった割り切れないすっきりしない気分だった。
 
   賢治さん、急にトイレに立ちたくなって、結末を急いだとか……、
   そんなことはないか。
 
   もちろん「これはこれでいいんだよ」「こういう終わり方好きだな
   」と言う方も多くおいでだろう。
 
   のるまんじいはこの終わり方を賢治さんの「あとは君が続ければい
   いんだよ」とでもいった読者への宿題に初めて読んだときは思えた。
 
   それでも、幕切れにもう一度拘ってみたい。
 
   どこかで読んだような記憶があるのだが、これは正しく「獅子吼」
   だと。
 
   “獅子吼”とは、釈尊が説法する様子を獅子のほえる様子にたとえ
   たもの。
 
   となるとこの猫どもは――
 
   ということになるだろうか。
 
   宮沢賢治という人は熱心な日蓮宗徒であったという。
 
   そこからきている説だろうか。ネタばれの感は否めないが。
 
   ともかく、この結末分からんもんで。
 
   子どもたちへの「読み聞かせ」だったらみんなに考えてもらおうか
   ということにできるだろうか。
 
   子どもたちはこの『猫の事務所』という物語を通して「いじめ」を
   どう捉えるだろうか。「いじめ」をする方は限りなく快感に酔うだ
   ろう。「いじめ」がエスカレートすればするほどこの酔いの程度は
   大きくなるだろう、まるで麻薬が強くなるように。概して「いじめ
   」ている方はいじめるという意識を明確に持っていないことが多い
   。ただ楽しいからするといった具合である。
 
   一方の「いじめられる」側はたまったものではない。どこまでも悲
   しいのである。救いようがないのである。「いじめる」が一転して
   「いじめられる」側に立ったとき初めて「いじめられる」側の辛さ
   に気づくのだ。
 
   ちょっと周りを見回して「シカト」するやつがいたとしたら、「シ
   カト」される方になってみるがいい。そうすれば「シカト」される
   ことがどれだけ辛いことかわかるだろうから。自分で辛さを理解し
   なければだめなのだから。
 
   さて、竈猫に救いはあったのだろうか。それこそこのめるまがの読
   者であるみなさんに教えていただきたいとのるまんじいは思うので
   ある。
 
   宮沢賢治さんが紡ぎ出した『猫の事務所』という物語の縦糸に黒井
   健さんが自らの色遣いの横糸を通すことで織り上げたこの美しい絵
   本をたくさんの方の手に託したいと思う。ぜひ、ご一読あれ。
 
 
 
  ==============================================================
     
 
 
 
     宮沢賢治記念館のホームページは
 
 
 
 
      
http://www.miyazawa-kenji.com/kinenkan.html
 
 
 
      黒井健 絵本ハウスは
 
 
 
       
http://www.kenoffice.jp/
 
 
 
   ==============================================================
 
 
 
 
       猫の事務所 
 
 
 
 
 
 
                  宮沢 賢治/作
                  黒井 健/絵 
   
 
         
      
             1994年10月  初版 偕成社刊
             
 
 
 
          
            偕成社のホームページは
 
 
          
http://www.kaiseisha.co.jp/
     
   
 
   
   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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# 「ジョットという名の少年 羊がかなえてくれた夢」          
JUGEMテーマ:オススメの本

 
 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
        ジョットという名の少年
 
 
 
 
 
           羊がかなえてくれた夢 
 
 
 
 
 
 
 
 
                パオロ・グアルニエーリ/文
               ビンバ・ランドマン/著
               せきぐち ともこ/訳
               石鍋 真澄/解説    
                         
 
 
 
   ==============================================================
 
   
   
   明けましておめでとうございます。
 
   今年もよろしくお願いいたします。
 
   今年はのるまんじい、いよいよ「還暦」でございます。
 
   それもあわせてよろしくお願い申し上げます、
 
   
   ==============================================================
 
 
 
 
   何とも不思議な絵本。
 
   中世の匂いがする1冊。
 
   と、言いたいがのるまんじいが西欧の“中世”をしかと知ら
   ぬものでなんともいえぬ。
 
   全体を“茶色”を中心に使用して表現したこの1冊、ぱっと
   見ならば、秋に読む方がぴったりくるかもしれぬ。
 
   しかしながら、ここ数年、年の初めは「さだまさし」、じゃ
   なかった(笑)、「干支」つながりで紹介させていただいてい
   るので、ここは1冊「羊」でいきたかった。
 
   そこで。
 
   この作品の主人公、本書では「ジョット」とだけあるが、ジ
   ョット・ディ・ボンドーネ、中世後期の画家にして建築家で
   あろう。
14
世紀30年代まで活躍している。日本でいえば、鎌
   倉時代末期から南北朝の黎明にかけてということになるだろ
   うか。
 
   そのジョットがまだ小さい頃のこと。
 
   お父さんの羊の群れを野原に朝になると、ぼんやりともの想
   いにふけながら連れていく。
 
   ここで軽く“寄り道”をしたい。
 
   日本人にとって西洋や中東、そして草原の民のようにさほど
   “羊”と縁がないように思う。西洋社会では『聖書』にも登
   場する非常に身近な「家畜」で、その歴史は牛馬とは大きな
   差があるという。
 
   イエス・キリストが人を比喩して『迷える子羊』と話をする
   のも当時の世界を反映しているのだとか。
 
   だから。
 
   ジョットは羊の群れを日々野原に連れて行き。終日番をして
   夕暮れを告げる鐘の音とともにまた家路をたどるのだった。
   
   でも。
 
   絵を描くのが大好きなジョットは羊の番をそっちのけで、絵
   が描けそうなものには手当たり次第、夢中で描くのだった。
 
   ある日の夕方。
 
   いつものように羊の群れを連れて帰ってきたジョットに父親
   は1頭足りないことを理由に祭りには連れて行かないと告げ
   るのだった。
 
   心優しいジョットは自分が受けるおしおきより「あの子羊は
   どうやって夜をすごすんだろう」という方が気になるような
   少年だった。
 
   そんな時だった。
 
   家の外に大勢のひとのざわめきと足音が聞こえたのは。
 
   たくさんの人の行列の中には父親の姿もあった。それよりな
   により気になったのは、沈みかけた夕日に照らされ、金色に
   かがやいている1枚の絵だった。それはおそらく「聖母子像
   」。
 
   我慢ができなくなったジョットは約束を破り、行列を追いか
   け、その結果、あの絵の作者がチマブーエという人だとわか
   った。あんなすばらしい絵が描ける絵の具がどうやったら手
   に入るのか知りたいのと、自分が将来絵描きになりたいとい
   う夢をチマブーエにうちあけたくなたったのだった。
 
   教会から出て、自分の工房に向かったチマブーエをおいかけ、
   そして、ふたりの出会いは始まっていく。
 
   「ぼくはただの羊飼いです。でも、……」
 
   これがジョットのやがて師匠になるチマブーエにかけた最初
   のことばだった。
 
   これより先は、常のごとく書くまい。
 
   ジョットがやがてフィレンツェを、イタリアを、いや世界を
   代表する画家になることを私たちは知っているが、そのきっ
   かけを作ったのが、1頭の「迷える子羊」であったとしたら
   、この1頭の使命は如何に大きいものだったことだろう。
 
   ただ、解説の石鍋氏によれば、ジョットが羊の番をしながら
   描いていた羊の絵を画家のチマブーエが通りかかった際に見
   て、その才能を見抜き弟子にしたという「羊の伝説」がもと
   になっているそうだ。どちらにしても「羊」がそこにある。
 
   ジョットは次の時代、あのイタリア・ルネッサンス期につな
   がる時代を築いた人物とされている。(なにせ俄仕込みの知
   識ゆえ違っていたらご容赦を)  
 
   代表作としてはバドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂の装飾画が
   挙げられるという。
 
   また本書の最後ではチマブーエの依頼により、アッシジの聖
   フランチェスコ大聖堂のフレスコ画を描くために旅立つジョ
   ットが描かれてこの物語は幕を下ろしていく。実際のところ
   は未だにジョットがそれに関わったかどうか不明だそうであ
   る。 
 
   それよりも興味深かったのは、かのナポレオン・ボナパルト
   がイタリア侵攻の際に大聖堂を厩舎にしてしまい、絵画の由
   来を示すものが失われたとせれていることである。そいうい
   うものか、と。      
   
   なお、マラテスティアーノ教会に残る『キリスト十字架像』
   は2010(平成22)年12月発行の雑誌『一個人』「保存版特集 
   キリスト教入門」の表紙に使われていて、見知っていた。そ
   こでは苦痛は内面化されているとあった。
 
   とまあ、書いてきたが、のるまんじいが本書とめぐりあった
   のは数年前のこと。
 
   これまた、題名に「ぐっと」きたから手に取りたいに違いな
   かった。初めて出会った時の印象はかなり地味めの印象で、
   聖堂のそれを思わせてくれた。本書も小さな人たちにはどう
   だろう。毎週ミサに出かけるカトリック者や主日礼拝に赴き
   日曜学校ででもふれ合わないと分かりにくそうにも思う。
 
   ただ、本自体は素晴らしく、さすが絵画に強い「西村書店」
   だと思ったのは確かである。ビンバ・ランドマンの次の作品
   『天才レオナルド・ダ・ヴィンチと少年ジャコモ』も読んで
   みたい1冊である。
 
   「干支」が今年は乙未(きのとひつじ)だが。
 
   「羊」がらみの絵本のその数のいかに多いことか。候補に挙
   げたのは本書を含めて3冊。そのどれもよく、あとの2冊も
   今年中に何気なく入れ込んでみたいと思っている。そのうち
   のひとつは秋に。そしてあとのそれは、気のままに。そう考
   えている。
 
 
 
   ==============================================================
 
 
 
 
    一個人 最新号は「冬の京都を愉しむ

 
 
 
    
http://www.kk-bestsellers.com/magazine/ikkojin/
 
 
 
 
 

    十字架上のキリスト  ジョット作
 
 
   
http://www.salvastyle.com/menu_gothic/giotto_crocifisso.html
 
 
 
 
 

   ==============================================================
 
 
 
 
 
        ジョットという名の少年
 
 
 
 
 
           羊がかなえてくれた夢 
 
 
 
 
 
 
 
 
                パオロ・グアルニエーリ/文
               ビンバ・ランドマン/著
               せきぐち ともこ/訳
               石鍋 真澄/解説
   
 
         
      
             2000年11月 初版 西村書店/刊
             
             
 
                西村書店のホームページは
 
 
          http://www.nishimurashoten.co.jp/
     
   
 
  
   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
   ==============================================================
 

 
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# 「きんようびはいつも」
JUGEMテーマ:オススメの本


 
 
   【こんな一冊の本】
 
 
 
 
 
        きんようびはいつも
        
 
        
 
                ダン・ヤッカリーノ/作
                青山 南/訳             
 
 
 
   ==============================================================
 
   
 
 
   何気ない日々の移り変わりのなかに、ちょっとアクセントをつ
   ける。
 
   おとうさんとぼく、2人だけの時間。  
 
   いつまでも続くと錯覚していた時間の流れ、やがてそれは反抗
   ・自立ということばで表される子どもの行動によってあっけな
   く終わりを告げる。
 
   だから、忙しいとはわかりきっていても、でも、子どもとの時
      間はできるときに、できるように意識的に作っていかないと気
   がついたときには相手にされなくなっている。
 
   「仕事が忙しいから」
 
   間違いない。子育ての時期と仕事の忙しい時期は重なることが
   多いだろう。
  
   でも、それは言い訳にしかならない。作ろうとしないとできっ
   こない。
 
 
   壁にかけた時計の針は、もうすぐ8時をさすところ。
 
   ママはおとうとにいつものようにごはんを食べさせている。
 
   「パパ!ぼくは、準備完了だよ!」
 
   ぼくは服を着替えて、本を脇にかかえて、帽子ももうかぶって
   いる。パパはスーツの袖に腕を通しながら、
 
   「じゃあ、行ってくるよ」とママにキスをする。
 
   ああ、ぼく、きんようびは、だいすきだ。ワクワクする。
 
   きんようびは、いつも、パパといっしょにうちをはやくでるん
   だ。そして、パパといっしょに歩く。気持ちがいい。
 
   ホテルの前をおそうじしてるおじさんも、ドアマンのおじさん
   もすっかり顔見知りさ。
 
   「やあ!おはよう」
 
   きんようびは、はね。さむい日でもゆきの日でも、はれの日で
   も、あめの日でも、ふたりでおでかけなんだ。
 
   歩いていると、お店がどんどん開いてくるんだよ。
 
   「パパぁ、ここのビルだんだんできてきたね」
 
   みんなはいそいでいるんだよ。でも、ぼくらはいそがない。ち
   ょっとすまし顔で歩いている。
 
   何気ない会話に親子の心の交流がみえる。
 
   ふだんだと会わない人にも、いっぱい会えるんだよ。
 
   新聞スタンドのおじさん。ベンチにこしかけてハトにえさをや
   っているおばあさん。いぬを散歩させているおねえさん。運送
   屋さんのおにいさんも朝がはやい。
 
   この男の子はパパといっしょで、社会にふれていていい経験を
   しているな。
 
   ぼくたちは、あさごはんを食べにやってきたんだ。
 
   ウェイトレスのローザはぼくのメニューを「あててあげましょ
   うか」って言うんだよ。そして、「ホットケーキでしょ?」
 
   ぼくがいつも注文するから、もう覚えちゃったんだね。
 
   
   という感じで物語は進んでいく。このお話に刺激的な“事件”
   は残念ながら出てこない。いったって平板な流れだ。その平板
   さが子どものこころに安らかさを与えるのではないだろうか。
 
   「おとうさん、ぼくもこの子みたいにおとうさんとふたりっき
   りでお出かけしてみたいな」とか「ぼくたちもごはんを食べな
   がらおはなししようよ。この前、学校でね……、あっ、このお
   話は今度おとうさんとお出かけした時にしようっと。ね、いい 
   でしょ、連れっててよ」
 
   そんな会話が聞こえてきそうな気がする。
 
   ニューヨークに住んでいる作者のダン・ヤッカリーノはこの物
   語の前書きでこう書いている。
 
   金曜日はいつも、息子のマイケルと、近くのダイナーであさご
   はんをいっしょにたべています。マイケルが3つになったとき
   から、わたしたちふたりのとてもだいじな時間になりました。
   ふたりとも金曜日を楽しみにするようになりました。みなさん
   も、わたしたちのように、ちいさな行事をつくってみてくださ
   い、ぜひ。
 
      よく言われることだけれど。
 
   あなたは、自分の子どもの友だちの名前、何人ぐらい言える?
   学校の担任の先生の名前は?学童に行ってるなら、そこの先生
   の名前は?サッカーの練習日はいつも何曜日だった?
 
   そんなこと知らなくたって、子育てはできると一笑に付される
   だろうか?知っていることが“偉い”なんてこれっぽちも言っ
   てはいない。
 
   そうではなくて、子どもとこころの交流はしといた方がいいよ
   と老婆心ながら言っているに過ぎない。
 
   経験者は語る。「光陰矢のごとし」ってね。あっという間にウ
   ザくなるんだから、これが。
 
   大体さ、子育てって、親の方も20代から30代という若さだ
   からできるんじゃないかな。パワーがある時期だからね。それ
   が、もしだよ、有り得ないことだけれど、「おい、のるまんじ
   い。悪い!ちょっとこの子、預かってやってくれないか」なん
   て、ベビーギャング世代を目の前にされても、もう絶対ダメ。
 
   自信ない!責任持てないよ。1日で、いや半日でギブアップじ
   ゃないかなあ。
 
   近ごろ、ちょっとなにかあると翌日には「肩が痛い」だの「腰
   が痛い」だなんてほざいている身だもの「抱っこ!」なんて言
   われてごらんよ。考えただけでも恐ろしくなる。
 
   タレントの杉浦太陽クンが子のろけをテレビでやっているけれ
   ど、結構ほほえましく聞かせてもらっている。「まあ、がんば
   ってヤ」とエールを送りたいもの。(もう何年も前のことだけ
   ど)
 
   なんか訳のわからなん文章になってきたな。
 
   とってもかわいい“絵本”である。小さい方から小学校低学年
   向きだろうと思う。そして現役パパさんママさんにご一読をお
   薦めさせていただきたい。
 
 
   
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          片岡義男氏 外国の絵本を買う 連載3
 
 
      ダン・ヤッカリーノの本がいっぱい
 
 
       注目です
 
 
 
      
http://www.tbl.co.jp/kataoka/kataoka/20091012/20091012.html
 
 
 
 
      産経新聞    【翻訳机】
 
 
     日本語との出会い   最大の喜び
 
 
     青山南氏


      
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131201/bks13120108570008-n1.htm
 
     
 
     ダイナー   北アメリカにある
 
 
     プレハブ式レストランだそうです
 
 
 
     
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%BC
 
 
 
 
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        きんようびはいつも
        
 
        
 
                ダン・ヤッカリーノ/作
                青山 南/訳        
 
         
      
             2007年12月 初版 ほるぷ出版刊
             
             
 
 
       ほるぷ出版のホームページは
 
 
    
http://www.holp-pub.co.jp/
     
   
 
   
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