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    「鰻にでもする?」

    • 2011.07.16 Saturday
    • 09:22
    JUGEMテーマ:オススメの本

     

      【こんな一冊の本】

     

     

     

         鰻にでもする?

            

            

     

                    平松 洋子/著      

     

        


      =======================================================

       

     



     『鰻にでもする?』

     

     まず、このタイトルが、目に飛び込んできた。

     

     「にでも」

     

     この音の並びと「にでも」ということばの持つ微妙なニュアンス
     が耳に、そしてこころに心地よい。

     

     そしてまた、表紙では、「鰻にでも」「する?」と2行に分かち
     書きされていて、これまた、あいだの空白が微かな時間差とそこ 
     とはまた違った別の空間を生んで、意味深な印象を読者に与えて
     いる。


     「うなぎ」の好き嫌いは、思った以上にはっきりしているように   
     
    思うのだが、のるまんじいにとっては、とってもの“ご
    ちそう”
     の部類にはいる。

     

     そればかりか、夏の暑い空気がもったりと淀んでいるところに、
     うなぎを焼く職人の手がパタパタとあおぐ団扇の風
    に乗って、煙
     った中から立つ芳しいいい匂いが鼻さきをくす
    ぐるそんな情景ま
     でが「うなぎ」ということばから浮かんで
    くる。

     

     まこと、のるまんじいは“いやしんぼ”である。

     

     しかしながら、この本は、“食のエッセイスト”の平松洋子さん
     の著書であれば、そんなものではないだろうと期待もい
    や増すと
     いうものだ。

     

     さあ、それでは、いざ中に。

     

     まずは、表題の『鰻にでもする?』である。

     

     キジマさんという編集者がある老作家のお宅に原稿を初めて取り
     に行く大役を仰せつかうことになった。緊張しながら原
    稿を“先
     生”から大過なく受け取り、それではという段にな
    って、「食べ
     て行きなさい」と盆に乗せたお重と湯呑みを出
    され、広い応接間
     でひとり粛々と箸を動かした。

     

     そんなエピソードがここに書かれている。

     

     広くて重厚感のある調度に囲まれたそこで、大任を終えほっとし
     たのも束の間、今度はまた一味違った緊張の中で「うな
    重」に箸
     をのばすキジマさんの姿が浮かんでくる。

     

     その昔、鰻は特別なご馳走だった。

     

     近ごろでは、うなぎもスーパーなどで安価なものが随分と出回っ
     て庶民の口にも容易に入るようになったが、平松さんが
    おっしゃ
     るようにうなぎは鰻屋のそれには到底かなうまい。

     

     平松さんはこう書いている。

     

     「暑いから今日は鰻にでもする?」

     

     このことばに家族は沸き立ち、父は相好を崩したと。「鰻にでも
     する?」。その1拍置いた言い回しに、万感の思いあ
    り。「にで
     も」などといかにも気軽な様子を装っているけれ
    ど、とんでもな
     い。そのじつそこには母の大決断が隠れている。

     

     日常の中の“贅沢”。

     

     このあと、鰻屋に蒲焼を買いに足を運んで、家で食べたという話
     が描かれている。

     

     のるまんじいは、「店」の雰囲気が好きなもので、ここで思い
     きりエイやっと本題から話をそらさせていただきたい。

     

     『食べられなかったうなぎ』というのがある。未だに悔しくって
     仕方がないという「それ」である。

     

     父親がうなぎというと決まって自慢する店が1軒あった。神田の
     「梅の井」というのがその店だった。その店を知ってい
    る人から
     も「うまい鰻を食わせる店だよ」とやはり聞かされ
    た。

     

     あそこはおとなの店だからといってその「梅の井」に連れて行っ
     てはもらえなかった。まるで自分だけの密やかな場所のよ
    うに。
     落ち着きのない息子を連れて行って、とんでもないド
    ジでもされ
     て女将に恥をさらしたくなかったのが父の本心で
    はないかと今は
     思っている。

     

     何でも女将は職人や店員にも厳しい人だったからとは耳にしたこ
     とがある。そこで仕事がこなせるよなら、どこでも通用す
    ると言
     われていたそうだ。

     

     その「梅の井」が都合で店じまいをしたと聞いたのは、もう社会
     に出たあとだった。今ごろになって、やっぱり食べに行
    っておけ
     ばよかったと悔やんでいる。後の祭である。


     そんなほろ苦い思い出が本書を読むうちによみがえってきた。

     

     さて。こんなのは、いかが?

     

     『醤油 一滴か二滴か。油断禁物』

     

     これまたおもしろい。
     

     わさびは醤油にとくか、それともわさびをのせた刺身を醤油につ
     けるか。さて、どっちが刺身はおいしいか。

     「野菜を実家からどっさり送ってきたから、少しもらってくる?」     

     

     鹿肉が和歌山から到来したとき、「誰におすそわけしようか」と
     考え、生肉を切り分けて、それゆけ!勢いを駆って自
    転車を漕い
     で行きついた先は……。

     

     京都から筍が届いた時も……、筆者は走る!

     

     相手が恐縮しそうなときは、こんなことばが口をつく。

     

     「どっさりあるから、助けてもらえるとうれしいな」

     

     おお、では手助けしてやろうと膝を乗り出してもらえると、気が
     らくになる。

     

     とまあ、こういう食にまつわるエッセーが美しい写真とともにて
     んこ盛り。


     駄目、ダメ。紹介しすぎ。このへんが限界。本を読む喜びを奪っ
     ちゃだめだよ、のるまんじい。あ〜あ、残念だ。


     忘れちゃいけない。

     

     「いいのかなあこんな贅沢しちゃって」という筆者のひとこと。
     さてここには筆者平松さんのどんな思いが込められてい
    るだろう 
     か。それも、この本をお手にとってお読みいただき
    たいと思う次
     第である。


     この“贅沢”とは、そのへんに何気に転がっているそれかもしれ
     ない。そんな転がっているものの数々に平松さんは優し
    い眼差し
     でもってさりげなくスポットライトを当てている。

     

     “あなたっだってもっとお日さんに当たっていいんだよ”と。

     

     一般向け。食いしんぼうだったら、中学生ぐらいでも楽しんで
     らえる。日曜日の昼下がりのゆったりしたひとときに、緑
    陰につ
     るしたハンモックにでも乗って、緑の匂いを含んだ風
    を感じなが
     らお読みいただけたら最高(!)かな。一読をお
    薦めさせていた
     だく。 

       

     ========================================================

     

      

             鰻にでもする?

            

     

            

                    平松 洋子/著


        

                 2010年8月 初版 筑摩書房刊

                 

                 

     

             筑摩書房のホームページは

     

           http://www.chikumashobo.co.jp/

           

       
        ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

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